「すごく嬉しいですよ」。ポーラの横手喜一社長が社員の成長を褒め、笑った。2016年1月に社長に就いてから何度もインタビューを重ねてきたが、ほとんど社員を褒めたことがない。いつも5年後、10年後を見据え、ビューティーディレクター(BD)、ショップオーナーというビジネスパートナーに対して以上に、ポーラの社員には意識改革を求めてきたから。横手社長の笑顔は意外だった。
ポーラは2019年9月18日、創業90周年を迎える。化粧品を売る、エステを提供するという単純明快なビジネスモデルは、いずれ通用しなくなるのではないか。だから横手社長は、日本はもちろんアジアを含む世界において、ポーラが社会にとって不可欠な存在になることを目指しており、そうしなければ「ポーラの未来はない」と断言する。今回の取材では、決算の数字には現れない、国内外の地域に寄り添うポーラの戦略に込められた想いを率直に聞いた。