SBIホールディングスは、金融資産と健康資産の両立を支えるヘルスケア事業を次世代の成長領域に位置付け、アミノ酸「5-ALA(ファイブアラ)」を利用した関連事業を本格強化する。子会社のSBIアラプロモが、キリンホールディングス傘下の協和発酵バイオと事業提携し、発酵技術を活用した高品質な5-ALA原料の供給体制を構築。6月4日付けで産学官連携による「5-ALA普及協会」を発足し、市場形成にも乗り出した。SBIグループは5-ALAを軸に「進化するエイジレス社会」の実現を掲げ、現在約60億円規模とされる国内5-ALA市場を3年後に200億円へ拡大する考えだ。

SBIグループは2008年から5-ALA事業に参入し、医薬品や機能性表示食品、化粧品などを展開してきた。5-ALAは、ほぼすべての動植物内に存在する天然アミノ酸で、36億年前から存在する「生命の根源物質」と呼ばれる。人間においては、細胞内のミトコンドリア内に存在し、代謝に不可欠な酸素運搬やエネルギー産生の基盤を構成する重要な存在だ。体内の5-ALA 量は17歳をピークに加齢と共に低下することから、同社は老化研究や健康寿命延伸の観点から長年研究開発を進めてきた。

SBIホールディングスの北尾吉孝会長兼社長は、「金融の世界で資産形成を支援するだけでなく、健康寿命を延ばし、長く活躍できる社会をつくることも重要だ。金融資産と健康資産を両立する仕組みを構築したい」と強調。人生100年時代において、単なる長寿ではなく、健康で活動的な期間を延ばすことが重要との認識を示した。

SBIホールディングスの北尾会長兼社長はロンジェビティの重要性に言及

同社は5-ALAを「究極の抗老化素材」と位置付ける。老化研究の世界的な潮流がミトコンドリア機能に注目する中、5-ALAがエネルギー代謝を支える中核成分として重要性を増しているとみている。

 協和発酵バイオの発酵技術と融合

協和発酵バイオとの事業提携の最大の狙いは、5-ALA市場拡大に向けた品質基盤の強化だ。25年2月に5-ALAの物質特許が満了し、市場への新規参入が進む中、原料品質や安全性の確保が課題となっている。その中でSBIアラプロモは協和発酵バイオと共同で発酵由来の新たな5-ALA原料を開発した。協和発酵バイオが70年以上培ってきたアミノ酸発酵技術と、SBIグループが蓄積してきた5-ALAの研究知見を融合。新原料は純度99.9%以上の国産品で、山口県・防府市の国内工場による一貫生産体制を採用する。

キリンホールディングスの吉村透留常務執行役員ヘルスサイエンス事業本部長は、「健康やウェルビーイングはキリングループが重点的に取り組む社会課題の一つだ。発酵バイオテクノロジーを活用し、生活者の健康課題の解決に貢献したい」と説明。今回の提携について「発酵素材による価値創造の象徴的な取り組み」と位置付けた。

また、協和発酵バイオの長野宏社長は、「5-ALAは当社にとって新たな事業の柱になり得る素材だ。SBIアラプロモとの協業を通じて、日本だけでなく世界の人々の健康と豊かさに貢献したい」と期待を示した。

左から、SBIアラプロモの竹崎泰史社長、SBIホールディングスの北尾吉孝会長兼社長、キリンホールディングスの吉村透留常務執行役員ヘルスサイエンス事業本部長、協和発酵バイオの長野宏社長

同社はこれまで主力だったBtoC事業に加え、原料供給やOEM支援などBtoB事業も本格化。5-ALAを活用した製品開発を幅広い企業に促し、市場全体の裾野を広げる考えだ。 SBIアラプロモの竹崎泰史社長は「高齢化社会の課題解決に向け、5-ALAを核としたエコシステムを構築する。高品質原料の供給、普及活動、商品開発支援を通じて市場全体を成長させたい」と語った。6月中に、協業から生まれた5-ALAを配合した製品の発売を予定している。

 5-ALA普及協会を設立、市場創造へ

SBIアラプロモは6月4日付で「5-ALA普及協会」を設立した。アカデミア、メーカー、小売・流通、生活者をつなぐプラットフォームとして、5-ALAに関する研究成果や安全性情報を発信し、市場の健全な発展を目指す。