ナリス化粧品は、「マッサージ時の滑らかな指の運びと肌に追随するような厚みと密着感」および「洗い流し後の適度な残留油性感とぬるつき感のなさ」という二つの使用感を持つ顔用マッサージ料の処方を確立した。
マッサージクリームやパックは化粧品の中でも朝晩毎日使用する化粧水などの一般的なスキンケア品よりも付加価値の高いものとして認識されている。同社では1974年にヨーロッパのエステティックのサービスを国内に導入するにあたり、日本人の肌に合う専用の化粧品の開発を行った。当時はマッサージクリームとパックは別々の製剤だったが、80年に女性の就業率の増加などを背景にパック機能を持つ家庭用のマッサージクリームを初めて開発した。パックやマッサージといったエステティックサロンで受ける施術のような満足度を自宅で自分でも行うことができるパックとマッサージの両方の機能を持つクリームは、「マッサージングパック」として独自性の高いアイテムとして研究に注力してきた。
クリーム状のマッサージ料は、使用するときには滑らかな伸びや肌を包み込む厚みがあり、マッサージ中に転相することが好まれるが、洗い流す時やふき取る時はぬるつきのなさが求められ、その後は皮膚を柔軟に感じさせる残留油分感が好まれる傾向がある。これまでは残留油分を感じさせるために液状油を乳化製剤中に多く配合してきたが、洗い流す時のぬるつき感が顕著になるという課題があった。今回の処方研究は、サロンで体験できるリッチな満足感がありながらも特別な手技などを必要とせず、一般の人が気軽に心地よくマッサージを楽しめることを目的として行った。
これまでのO/W型のマッサージングパックは、乳化の安定性の観点から液状油の配合量を一部制限していた。しかし、この従来処方では、さっぱりとしたみずみずしい使用感になってしまい、マッサージに求められるコクのあるリッチな感触や残留油膜感が得られないという課題があった。
一方で、リッチな感触や残留油膜感を求めて多量の液状油を配合し、界面活性剤を増やして安定化させようとすると、界面が強固になりすぎてマッサージ中に転相が起こらない。その結果、油が肌に付着せずにそのまま流れてしまい、洗浄後に適度な残留油性感が得られないというジレンマを抱えていた。
同社では、肌の構造と類似した水層と界面活性剤と高級アルコールがミルフィーユ状を形成するラメラ構造とも呼ばれるαゲル構造を用いることで、クリームの乳化状態を安定させることに成功。肌との親和性が高く、みずみずしくも適度なコクのあるテクスチャーを実現した。
マッサージをするときに指がこのラメラ構造を少しずつ破ることで、油分のカプセルと水分のカプセルが弾けてあふれるような感覚を得られる。αゲル構造を持つマッサージングパックの処方は、46年間の開発の中で初めての処方系となる。なお、この研究で確立した研究品は10人の専門パネラーによる使用感の評価試験を実施し、使用時のコクのある滑らかなテクスチャー・すすぎ時のぬるつき感のなさ・すすぎ後の残留油性感についても高い評価を得ている。






















