花王は9月29日、次期社長に長谷部佳宏専務を選任する人事を発表した。2021年1月1日に新社長に就任し、澤田道隆社長は代表権のない会長に就く。

澤田道隆社長(左)と次期社長に選任された長谷部佳宏専務(右)

同社は同日、澤田社長、長谷部専務、花王社外取締役の門永宗之助取締役会議長の3名が出席し、本社において会見を実施した。

冒頭、門永議長が次期社長専任の経緯と理由を説明。社内外から次期社長候補をリストアップし、約1年間かけて選任審査委員会で議論を重ねたうえで、リーダーシップ、イノベーションと先端技術の導入・使いこなしに秀でていること、花王ウェイに基づくリスクマネジメントの目線の三つの理由で長谷部専務を次期社長に選任したことを明らかにした。

その後登壇した澤田社長は、今後の花王の成長には新規事業の開拓が必要であることを強調。その種まきはできたが、事業として具現化できなかったとし、「具現化できる人に私の想いも含めてバトンタッチしていきたい。長谷部次期社長が必ず達成してくれると思っています」と期待を示した。

続いて長谷部専務は、次期社長に選任されたことについて「門永議長と澤田社長の専任理由、経営を託すお言葉をいただきまして身の引き締まる思い」と語ったうえで、新型コロナウイルス感染拡大による大転換期で社員一丸となって更なる飛躍を遂げる花王を目指していくとした。そのうえで、「消費財メーカーである花王はこれまで多くのものをつくり、そしてそれらを消費していただくことによって社会に貢献してきた。一方、多くの物質を使い、エネルギーを使い、廃棄物を生み出してきている会社でもある。今後は消費しにくいモノづくりへと大きく舵を切らなければならない。数と量の経済から、質と絆の経済へシフトするべき」と語った。