資生堂の2024年12月期第2四半期決算は、売上高は前年同期比2.9%増の5085億3600万円、コア営業利益は31.3%減の192億7200万円、中間利益98.3%減の2億600万円、親会社の所有者に帰属する中間利益は前年比99.9%減の1500万円となった。
事業別売上高を見ると、日本事業の売上高は13.1%の1415億1800万円、コア営業利益は、売上増による差益増や費用効率化などにより、前年に対し116億円改善し79億4800万円となった。経営改革プラン「ミライシフト NIPPON 2025」の実行を通じた収益性改善を引き続き進め、成長性・収益性の高いブランド・商品・お客さま接点へ活動を集中させることで成長の加速に取り組み、愛用者数の増加が続いている「SHISEIDO」、「クレ・ド・ポー ボーテ」、「エリクシール」を中心としたコアブランドで力強い成長を実現したほか、戦略的マーケティングによりファンデ美容液という新市場創出に取り組み、「SHISEIDO エッセンススキングロウ ファンデーション」などが好調に推移した。また、訪日外国人旅行者数がコロナ禍前の水準を上回って推移し、インバウンド消費も着実に回復した。
中国事業は、売上高は0.8%増の1316億7100万円、コア営業利益は49億4500万円で売上減に伴う差益減を、原価低減、固定費低減などの構造改革効果などにより一部相殺し、前年に対し5億5300万円減益となった。大型プロモーションを中心とした成長から、より消費者のニーズを踏まえたブランド・商品の価値伝達による持続的成長への転換を進め、「クレ・ド・ポー ボーテ」や「NARS」は堅調に成長し「618」Eコマースプロモーションにおいて市場を上回る成長を実現した。一方で、ALPS処理水の海洋放出後の日本製品買い控えの影響が残った「SHISEIDO」は苦戦を強いられた。
アジアパシフィック事業の売上高は12.3%増の344億4700万円、コア営業利益は21億9300万円で売上増に伴う差益増などにより、前年に対し19億5700万円の増益なった。タイを中心として堅調に成長。「アネッサ」、「Drunk Elephant」、「SHISEIDO」が全体の成長をけん引した。
米州事業の売上高は8.4%増の572億5800万円、コア営業利益は26億300万円、売上減に伴う差益減などにより、前年に対し14億5600万円の減益となった。「SHISEIDO」や「narciso rodriguez」が増収となった一方で、主に「NARS」や「Drunk Elephant」において一時的な生産減により出荷が減した。
欧州事業は、売上高19.5%増の628億600万円、コア営業利益は37億3900万円で売上増に伴う差益増などにより、前年に対し24億8900万円の増益となった。「SHISEIDO」が着実に伸長したほか、「narciso rodriguez」がフレグランスの好調をけん引。また店舗拡大とともに積極的なマーケティング活動を進めている「Drunk Elephant」は引き続き力強い成長を実現した。
トラベルリテール事業の売上高は13.7%減の668億5000万円、コア営業利益は77億200万円、売上減に伴う差益減などにより、前年に対し77億4500万円の減益となった。訪日外国人旅行者数がコロナ禍前を上回る水準まで回復したことを受け、日本において力強い回復を実現。一方、中国海南島・韓国では、中国人旅行者の消費行動の変化等の影響を受け、低い出荷レベルとなった。
24年12月期通期業績は、売上高2.8%増の1兆円、コア営業利益38.0%増の550億円、税引前利益4.7%増の325億円、親会社の所有者に帰属する当期利益1.1%増の220億円と、前回公表数値を据え置いた。