資生堂の江連智暢エグゼクティブフェローは、世界の化粧品市場に「顔の老化」という新たな領域を創出し、化粧品の可能性を飛躍的に拡大した立役者である。まだ「たるみ」が明確な研究対象ではなかった時代から、加齢に伴う顔の変化に向き合い、曖昧だった現象を測定し、科学として成立させた。それは世界最高峰の化粧品技術に関する研究発表会「国際化粧品技術者会連盟(IFSCC)世界大会」で大会史上初となる前人未到の4大会連続最優秀賞受賞という偉業に結び付いた。たるみ研究のパイオニアである江連エグゼクティブフェローに、日本の化粧品研究の現在地と未来について語ってもらった。
基礎的な力が何よりも大事
――化粧品研究の道を選んだ理由を教えてください。
江連 学生時代は生物学を学んでいました。生物学は、生命に関する現象を幅広く捉える学問です。その先には、人類がどこから来て、どこへ向かうのかという大きな問いもあります。私には、科学を通じて人や社会に貢献したいという思いがありました。当時の化粧品会社は、商品をつくるだけでなく、文化を発信し、次の時代を形づくる存在でもありました。その中で資生堂は、科学技術を起点に社会へどう貢献するかを、深く考えている会社だと感じました。自分の思いと重なるところがあり、研究を行う場として魅力的に思えました。
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