クラシエグループのコーポレートスローガンは、「夢中になれる明日」。世界を夢中にする商品を通して、夢中になれる明日をつくるのが同社の目指す目標だ。そのグループ会社の一つであるトイレタリー・コスメティックス事業を展開するクラシエホームプロダクツの行武久幸氏が社長に就任したのはコロナ禍の2020年3月。ご多分に漏れずインバウンド需要の減少や外出自粛の影響もあり20年は減収を余儀なくされたが、増益を確保した。新しい中期計画が始まった21年は「わくわく」する商品や売り場に「わくわく」が生まれる売り方提案で「夢中になれる明日」をつくる。その陣頭指揮を執る行武社長に、今後の戦略について聞いた。

一気に体質改善を行い減益は食い止めた

――パンデミックの発生と時期を同じくして社長就任でした。厳しいコロナ禍、どのように会社を切り盛りしてきましたか。

行武 私がプロフェッショナル事業にいた期間は、日用品化粧品業界は空前のインバウンド景気に沸いていました。弊社もその恩恵にあずかり肌美精のシートマスクなど売り上げが一気に伸長。それによる収益向上を背景に積極的に広告宣伝投資を行ったり、新しいブランドを立ち上げたりするなど拡大路線をとっていました。ところが2019年に中国で電子商取引法が改正されたことを機にインバウンド消費に陰りが見え始めました。ちょうどその時期の19年10月に副社長として一般流通に戻ってきて、翌年の20年3月に社長に就任しました。そのとき、社長として私に課せられた課題は原点回帰。インバウンド需要減速後の市場環境下で、在庫コントロールのやり方や宣伝販促費などを見直して、収益改善に向けた事業構造の転換を図ること。確かに厳しい時期での社長就任ではありましたが、逆にコロナ禍は事業を立て直すタイミングとしては、プラスに作用したと思っています。

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