久しぶりに化粧品専門店の経営者に会った。しかも大勢で、話題は多彩。楽しい時間が流れるなか、ふと気がついたのは、経営者に笑顔が多いことだ。新型コロナ禍でも下を向かず、前を向き、自ら進むべき道を決めて、すでに一歩、二歩と踏み出している。その笑顔が眩しかったのは、自らの行動と意識を恥じたからかもしれない。それと同時に、柔軟なコロナ対応を見て、アメーバ経営を思い出した。京セラの創業者、稲盛和夫氏は、著書『心。』(サンマーク出版)で「物事を成就させる人とそうでない人の違いは、わずかな差でしかありません。これまで見たことのないような高い障壁が目の前にやってきたとき(中略)瞬時に『乗り越えられる』と自分にいい聞かせて、一歩を踏み出せるかどうか。(中略)そのとき『登れないのではないか』という躊躇や逡巡が少しでも入ってしまうと、足がすくんで登れなくなってしまう。後から必死で『いや登れる』と思い込もうとしても後の祭りで、わずかその一歩の差が、運命を大きく変えてしまうのです。まず『できる』と強く思って明るい未来がかならず訪れると信じる。そして、困難という壁にぶち当たろうと、めげず、あきらめず、立ち向かっていく。(中略)はるかかなたに小さく見えていた成功はいつのまにか手の届くところに近づいているものです」と記している。今回は専門店経営者から勇気をもらった。新たな出会いを求めて、全国行脚を続けたいと思う。★
月刊『国際商業』2020年12月号掲載