花王スキンビューティ第2研究所は、トロメタミン(トリスヒドロキシメチルアミノメタン)による花王独自の「角栓崩壊洗浄技術」に、親水性ミクロパウダーを組み合わせることで、毛穴の奥深くの角栓まで除去する新たな洗浄技術を開発した。この技術では、親水性ミクロパウダーがトロメタミンによってほぐれた角栓の分散を促進することで、トロメタミンを毛穴の奥深くの角栓まで作用させることが可能になる。

この洗浄効果を確認する評価を行った結果、新技術では洗顔により毛穴部分が深くなる様子が示された(図1)。これは、毛穴の奥に詰まっていた角栓が除去されたためだと考えられる。このことから、日常の洗顔において毛穴の黒ずみ汚れが目立ちにくくなる可能性が示唆される。

なお、今回の研究成果は、2026年3月17~20日に千葉県で開催の日本化学会第106春季年会にて発表予定。

角栓は、皮脂の出やすい鼻の周りを中心にほおや額などの顔全体に存在する。花王は、7~13歳の小中学生を対象とした調査(22年9~10月に91名〈男児:38名、女児:53名〉を対象に実施)において、角栓の形成に伴ってニキビが増えること、角栓が多いとニキビ関連のアクネ菌が肌表面に増加することを確認している。さらに、20~30代と比較して40~50代でほおの角栓が増えること、角栓が皮脂や角層の酸化の起点となり、くすみを引き起こしていることも明らかにしている。これらのことから、角栓ケアは幅広い世代で重要であると考えられる。

しかし、角栓は皮脂成分(固体脂)と剥がれた角層(剥離角層)が毛穴の中で年輪のように重なった強固な構造をしているため、通常の洗顔で除去することが困難である。そこで、花王は17年に、トロメタミンを用いて角栓をほぐし自発的に崩壊させる「角栓崩壊洗浄技術」を開発した。

花王は、生活者にとって大きな毛穴悩みのひとつである黒ずみ汚れに着目した。黒ずみ汚れを目立ちにくくするには、毛穴の奥深くの角栓まで除去することが重要だ。そこで今回、トロメタミンによる「角栓崩壊洗浄技術」をベースに、毛穴の奥深くの角栓まで除去できる新しい洗浄技術の確立に取り組んだ。

角栓にトロメタミンが接触すると、剥離角層がゆるみ固体脂がやわらかくなる。このとき角栓はほぐれた状態になるものの、完全にはバラバラになっていない。そこで、トロメタミンによってほぐれた角栓を、分散させて毛穴の外に排出させることを目指した。

さまざまな成分を探索し、平均粒径数十マイクロメートルの親水性ミクロパウダーをトロメタミンと共に配合したところ、ほぐれた角栓が親水性ミクロパウダーに吸着することで、角栓が分散しやすくなることを見いだした。これにより、トロメタミンが毛穴の奥深くの角栓まで作用し、除去できるようになると考えられる(図2)。

毛穴の奥深くの角栓に対する効果を検証するため、ヒトの毛穴と同等の直径を有するモデル毛穴に疑似角栓(パルミチン酸/オレイン酸/トリアシルグリセロール/カーボンブラック=30/30/40/1)を詰め、トロメタミンと親水性ミクロパウダーを配合した製剤(新技術あり)を用いて洗浄し評価した。評価方法は、61個のモデル毛穴がある基板に疑似角栓を詰め、新技術ありと新技術なしの製剤を滴下して洗浄した前後の重量変化を測定。5回試験を実施し、モデル毛穴の奥深くまで疑似角栓を除去する性能を評価する形式で行った。その結果、疑似角栓が約9割除去され、どちらも配合していない製剤(新技術なし)と比較して、疑似角栓除去力が高いことが示された(図3)。このことから、トロメタミンと親水性ミクロパウダーの併用により毛穴の奥深くの角栓まで除去できると考えられる。

花王は、25年11月に20~40代の日本人男女27名を対象として、新技術を応用した製剤を用いた単回洗顔試験を実施した。洗顔前後に写真撮影を行い、鼻部の角栓総面積を解析(UV画像から鼻部の白く光る輝点の面積を合計して角栓総面積を算出)した結果、洗顔後の角栓総面積は洗顔前と比較して平均約2割減少した(図4)。

さらに花王は、20~30代の日本人男女9名を対象に、トロメタミンと親水性ミクロパウダーを配合した製剤およびどちらも配合していない製剤で左右半顔ずつの単回洗顔試験を実施した。洗顔前後の写真から作成した鼻部3次元画像を用いて、角栓を含む毛穴深さの変化を解析(肌表面の形状を解析するために3次元画像を取得し、洗顔前後で毛穴周囲〈直径500マイクロメートルの範囲〉の深さの変化を評価)した結果、新技術では洗顔によって深さが50マイクロメートル以上変化した毛穴が多く認められた。これは、毛穴の奥に詰まっていた角栓が除去されたためだと考えられる。一方で、新技術なしでは変化はほとんど見られなかった(図1)。また、新技術では洗顔前に比べて黒ずみ汚れが目立ちにくくなる様子も観察された。

これらの結果から、新技術では毛穴の奥深くの角栓まで除去できるようになり、それによって黒ずみ汚れが目立ちにくくなることが示唆される。