コーセーの2025年第1四半期業績は、売上高は前年同期比1.8%増の789億9800万円と増収だったが、営業利益15.7%減の66億5900万円、経常利益49.8%減の51億5700万円、親会社株主に帰属する四半期純利益23.8%減と、利益は各段階で減益となった。
売り上げは、北米では厳しい市場環境の影響を受けて減収となったが、日本におけるアルビオンの売り上げが大きく伸長したほか、各ブランドも既存品の育成に積極的に取り組むことで全体で増収となった。連結売上高に占める海外売上高の割合は34.5%となった。

利益面では、原価率の上昇ならびに管理費の増加が響いた。原価率上昇の主な要因は廃棄・評価減の増加で、タルト社における在庫引当の増加ならびにコーセーのセルフブランドにおける廃棄が影響した。管理費は主に新規連結対象のPuri社の上乗せを要因として増加した。また、円高進行による為替差損の増加も利益を押し下げた。

事業別にみると、化粧品事業は、プレステージで減収となったが、ハイプレステージの増収でこれをはねのけ事業全体で増収となった。ハイプレステージでは、アルビオンのブランドと「パンピューリ」の増収が、「コスメデコルテ」や「タルト」の減収を打ち返した。「コスメデコルテ」は、日本国内では前年同期の売上高を上回っているものの、中国では高価格帯化粧品市場の低迷による影響を受けた。

プレステージでは、好調だった前年同期と比較すると減収。主要ブランドである「雪肌精」は日本国内では既存品の育成が奏功して増収となったが、海外では前年同期の実績を下回った。同セグメントにおける営業利益はアルビオンと中国本土で増益となった。中国本土では構造改革の効果が顕在化し始めたことで、第1四半期では黒字に転換。一方で、日本におけるコーセーブランドの減収による影響や「タルト」の減益を相殺するには至らず、全体では減益となった。

これらの結果、化粧品事業の売上高は2.2%増の635億1000万円、営業利益12.0%減の59億9500万円となった。

コスメタリー事業の売り上げは、前年同期とほぼ同水準で推移。主要ブランドでは、コーセーのセルフブランド「ヴィセ」の苦戦を「メイクキープ」シリーズの増収でカバー。また、コーセーコスメポートでは、主要ブランドが前年同期に大型リニューアルを実施したためハードルは高かったものの、前年並みの売上高を確保した。

同セグメントにおける営業利益は、原価率の上昇を要因に収益性が低下したことで減益。原価率の上昇は、主にコーセーのセルフブランドの廃棄が影響している。その結果、売上高は148億800万円の横ばい、営業利益は19.8%減の18億5100万円となった。

その他の事業は、主にアメニティ事業での増収に加えて、原価率の低下が寄与したことで、増益。売上高は11.3%増の6億7900万円、営業利益は148.6%増の3億6000万円となった。

地域別では、日本では、前年同期に発売した新商品が好調だったため、多くのブランドにおいて売上成長は緩やかになったが、アルビオンブランドが大幅に売上高を伸ばした結果、売り上げは増収。

化粧品事業では、アルビオンブランドが内需・インバウンド需要ともに好調に推移した。「コスメデコルテ」と「雪肌精」では、前年同期に大型新商品を発売したが、今四半期は既存品の販売を強化することで、増収を確保した。コスメタリー事業では、前年同期の新商品発売・リニューアルの反動を受けましたが、前年同期と比べて僅かに増収となった。その結果、売上高は6.0%増の517億6500万円となった。

アジアは、中国本土および免税チャネルは減収。中国本土では3月の大型セールの実績が前年同期を下回ったこと、免税チャネルではコーセー主導の出荷コントロールを継続したことおよび韓国免税における前年度の出荷増の反動があった。ただ、25年度から連結対象となったPuri社の増収がこれらをはねのけ、売上高は1.2%増の97億7000万円だった。

北米・その他地域は、プレステージメイク市場全体で厳しい市場環境が続いており、同地域における売上高の大半を構成する「タルト」は、新規チャネルとの取引開始により出荷が増加したものの、北米のオフラインチャネルの苦戦を打ち返すには至らず減収となった。加えて、コーセーブランドにおいては、前年同期に「雪肌精」の大型の受注があったため、今四半期は減収となった。その結果、北米地域の売上高は8.8%減の153億7400万円、その他(欧州など)の売上高は6.5%減の20億8700万円となった。

25年12月期通期業績は、売上高4.1%増の3360億円、営業利益15.2%増の200億円、経常利益4.4%減の207億円、親会社株主に帰属する当期純利益83.7%増の138億円と、期初予想を据え置いた。