日本化粧品工業会(粧工会)は、2025年7月31日、第3回定時総会を都内で開催。「24年度日本化粧品工業会事業報告及び収支決算に関する件」「25年度日本化粧品工業会事業計画及び予算案に関する件」「任期満了に伴う理事及び監事の選任に関する件」の三つの議案が示され、全て承認された。
粧工会は、東京化粧品工業会、中部化粧品工業会、西日本化粧品工業会の地域3工業会によって構成され、1959年7月24日に設立された「日本化粧品工業連合会」が前身。2023年4月1日に地域3団体の傘下会員が直接参画する新統一団体に改組した。会員企業数は1407社(25年7月現在)。
事業内容は、化粧品および医薬部外品(以下、化粧品など)に関する生産、流通、消費、技術、労働、環境・安全等に係る諸問題の調査・研究並びに対策の企画及びその推進・化粧品などに関する情報の収集及び会員への提供・消費者への普及および啓発・化粧品などに関する研修会、セミナーなどの開催・化粧品などに関する業界自主基準の制定・国内外の標準規格策定などへの参画・海外業界団体などとの情報交換と、多岐にわたる。
第3回定時総会の任期満了に伴う理事及び監事の選任に関する件では、これまで会長を務めていた資生堂シニアアドバイザーの魚谷雅彦氏が任期満了により退任。副会長を務めてきたコーセー代表取締役の小林一俊氏が後任として就任した。また会長の任期は1期2年で、連続で2期までは重任が可能だ。
副会長はカネボウ化粧品の内山智子代表取締役社長やTOAの神崎義英代表取締役社長ら19名が、理事はELCジャパンの青田靖上席執行役員ファイナンスディレクターやアサヌマコーポレーションの麻沼貴嗣代表取締役社長ら58名が、監事は東洋ビューティの岩瀬史明代表取締役社長や花島シーマンの花島恵子代表取締役社長ら3名が務める。
総会の最後に魚谷氏は、次のように挨拶した。
「本日の総会をもちまして、日本化粧品工業会会長の職を辞することになりました。同時に、化粧品公正取引協議会会長の職も退任いたします。日本化粧品工業会になってから初代の会長として、あるいは化粧品公正取引協議会の会長としても、今まで務めさせていただきました。全うできましたのはひとえに会員の皆さまにご支援、ご協力をいただいたものと考えております。改めて厚くお礼を申し上げたいと存じます。
私は16年に東京化粧品工業会の会長に就任させていただきました。18年からは当時の日本化粧品工業連合会(粧工連)の会長、そして23年からは粧工会の会長ということで、合計9年間にわたりまして、化粧品工業会活動に携わらせていただくことができました。何と言いましてもこの間に、長年のテーマである工業会組織の地域統合の見直しという非常に重要なテーマに取り組みました。もちろんこれには、東京化粧品工業会の澤田会長、中部化粧品工業会の水野会長、そして西日本化粧品工業会の西村会長や、スタッフの皆さん、工業会の皆さんの全面的なご理解とご支援、ご協力があって実現できました。改めてここで感謝を申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。
こういった日本の統一組織を作らなければならない背景には、日本の化粧品産業をめぐる状況がここ数年の間に大きく変化をしているということがあります。一言で言えば化粧品市場のグローバル化です。国内市場、海外市場共に厳しい競争にさらされております。特に昨今、韓国・中国をはじめとするアジア諸国の化粧品産業は、日本から技術供与をしたこともありましたが、今やライバルになってくる。昨年度24年度の数字を見てみましても、日本からの輸出がマイナス15%程度の中で、輸入は18%増加をしております。コロナ前とは全く違う様相になってきているというのは皆さまもお感じの通りだと思います。
そういったさまざまな対応をしていくに当たりまして、国際的な視野が必要だと先ほどご指摘もありましたけれども、やはりオールジャパンの体制が必要でしょう。EU、中国など各国を見てみましても、一つの団体でしっかりとやっている。皆さんのご協力を得て、ご理解を得て、今回この形にすることができました。これからもビジョン2030、そしてそれに関係するさまざまな委員会を通じて、日本の化粧品産業が直面するいろいろな課題に対して一丸となって取り組んでいくことが必要かと考えております。
また先ほども『日本の』という言葉がありましたが、海外に行くと、日本の化粧品は非常にきめ細かく作られている、あるいは品質が高い、機能が素晴らしい、パッケージなども素晴らしく出来上がっているという評価をいただきます。これに甘んじることなく、今後さらに変化をするお客さまのニーズを的確に捉えて、これまで蓄積をしてきた技術、あるいは日本の文化を反映するような美意識などを込めたさらに素晴らしい日本の化粧品、あるいはそれに伴うサービスをしっかりとお伝えしていく必要があろうかと思います。
発信をするには工業会としてまとまっていくということも大事かと思いますので、これからの粧工会の大きな使命でもありますし、今後の会長、副会長、理事の皆さんに、託してまいりたいと思います。粧工会が日本の化粧品産業のさらなる健全な発展のためにこれからも活動を進めていくことを願っております。小林社長にぜひよろしくお願いしたいと思います。皆さま大変長い間にわたりましてお世話になりました。ありがとうございました」