日本化粧品工業会/日本歯磨工業会は、2025年化粧品歯磨業界連合新年会を2025年1月6日に都内で開催。冒頭、日本化粧品工業会の魚谷雅彦会長は以下のようにあいさつした。
皆さまあけましておめでとうございます。皆さま健やかに新年をお迎えになったことと存じます。今日はご案内ありました通り、日本化粧品工業会と日本歯磨工業会の合同での新年会ということでございますが、年初のお忙しい中、このように多くの皆さまにご出席をいただきまして誠にありがとうございます。また政府・行政関係の皆さま、ご来賓の議員の皆さまもお越しをいただきました。年初のお忙しい中、本当にありがとうございます。化粧品工業会を代表しまして私の話と一言、新年のご挨拶をしたいと思います。
ヘアケア等を含む化粧品業界を見ますと、昨年度1~9月までのデータで見ると前年比約8%伸長。コロナ以来の大変厳しい環境が徐々に回復をしてきていることかと思います。年末年始に店頭などに行くと、インバウンドの方も多かったと聞いております。まだ2019年レベルまで市場は戻っていませんが、確実に回復基調になっているかなとホッとしたところであります。
ただ、2025年を見通してみますと、皆さまも不透明感をお感じの通りだと思います。特に米国の政権交代もあり、不透明感あるいは驚くようなことが何か起きるか見通せない環境にあります。同時に、世界中で痛ましいことですが、紛争等もなかなか解決の糸口が見いだせない。一言で言うと、世界の経済が安定するのはまだ少し時間がかかるのではないかと思わざるを得ない環境にあります。
日本の化粧品市場が少し回復基調にあると、明るいニュースだということでお伝えしましたが、今朝も報道にありましたが、人口一人当たりの名目GDPにおいて、過去には日本は世界で1位だったものが、どうも昨年度は世界22位まで低下をしたと。隣の国の韓国にも抜かれたようですし、台湾も日本より少し上回りそうだというようなことが言われております。このうちの大きな要因の一つは高齢化、働き手が少なくなってきているということかと思いますし、また一方で、この極端な円安がずっと続いていることも影響しているのはご存じの通りでありますが、そうした意味から見ますと、日本の化粧品業界はこれからしっかりと危機感を持って取り組まなければならないということは、皆さんもお感じの通りかと思います。
高齢化という意味からは、一つはある意味エイジングというのは化粧品業界にとっては重要なテーマであり、いろいろな可能性もあります。また一方で、若年層の方々に対してのアプローチということからも、年代に応じた商品やサービスを提供していくという意味で、より品質の高い、イノベーティブなアプローチをより取り組んでいく必要があるのではないかと思います。また、若年層の方々を中心に、サステナビリティ、環境問題に対しての関心も非常に高い。日本でも調査等を見ていますと環境に配慮した商品を選択するという意識の高い方が確実に増えてきている。そうしたことからもさらに高い品質、技術を取り込んだ革新的な開発力が日本の化粧品産業が世界にチャレンジするためには必須だと思います。
もう一つのテーマは先ほど申し上げたグローバル化だろうと思います。人口縮小基調にある日本の化粧品市場の状況を考えると、もっと世界に打って出る必要がある。化粧品業界のメーカーの経営者の皆さま、あるいはそれを支えていただいているサプライヤーの経営者の皆さまも多くご来場いただいていると思いますが、大手の企業だけではなく、中堅企業、中小企業の方々も含めて、世界にもっともっと市場を求めていくということが必要だろうと思います。
そうしたことを実現していくために、ぜひご出席の皆さまにも各社の経営の中で真剣に取り組んでいただければと思っているのが、ダイバーシティの推進です。特に日本の場合、女性の力が十分に活用できていないと言われています。国の政策でも2030年に役員の30%は女性にすべきであるというような指針を出され、各企業とも取り組まれていますが、化粧品産業がその模範にならずして、どの産業がなるのかと、私は以前から思っております。男性も増えているとはいえ、お客さまの圧倒的多数は女性の方々。特に若い女性の方々の感性を生かせる産業であると考えています。もちろんそうした環境を作る意味で、マネジメントは必ずしも女性でなければならないというわけではなく、男性であっても構わないわけですけれども、企業や組織のダイバーシティ、多様な人材が活躍できる環境を作るということ、これは化粧品産業が率先して、日本で実現をし、それによりイノベーションを実現していく、アジアをはじめとしたグローバルに今まで以上にしっかり出ていく、こうしたことが今後より求められるのではないかと思いますし、日本化粧品工業会のビジョン2030の中にも、そうした日本からグローバルにビジネスをより進展していくこと、信頼され魅力ある産業であるという認知をより高めていくことを掲げております。
こういう混迷の時代であるからこそ、新たなチャンスもまたたくさんあるのではないかと思いますので、今日ご出席の皆さまの引き続きのご支援、ご理解をいただいて、日本化粧品工業会がさらに進展をし、国際的な競争力を高められるように、行政の皆さまにもバックアップをいただければと考えております。
本日お集まりの皆さまの益々のご隆盛とそして工業会に対するご支援、ご協力を心よりお願いを申し上げまして、新年のご挨拶とさせていただきます。