コーセーの2024年12月期決算は、売上高が前年比7.4%増の3227億5800万円、営業利益8.6%増の173億6400万円、経常利益6.9%増の216億4600万円、親会社株主に帰属する当期純利益35.6%減の75億1000万円と増収増益となった。売り上げは、中国市場において減収となった一方、日本の主要ブランドおよび欧米を中心に展開する「タルト」が売上高を大きく伸ばしたことが寄与した。利益面では、プロダクトミックスの変化やグローバルな原料規制への対応に伴う廃棄増等により原価率が上昇したが、増収効果に加え販売費のコントロールを実施したことなどで、営業利益、経常利益とも増益。ただ、親会社株主に帰属する当期純利益は第3四半期以降に実施した中国の構造改革に伴う特別損失の計上により減益となった。
セグメントの状況を見ると、化粧品事業は売上高は6.2%増の2553億4900万円となり、営業利益15.8%減の150億5200万円。ハイプレステージでは、「コスメデコルテ」が減収となるも、「タルト」や「アルビオン」が好調に推移したことで、ハイプレステージ全体では増収。「コスメデコルテ」は、アジアにおける減収を打ち返すことができなかったものの、日本国内で過去最高の売上高を記録した。プレステージでは、主要ブランドである「雪肌精」や「ONE BY KOSÉ」「エスプリーク」の好調により増収だった。利益は、プロダクトミックスの変化やグローバルな原料規制に伴う廃棄増等を要因に原価率が上昇したことで減益となった。
コスメタリー事業の売上高は12.3%増の647億1900万円、営業利益は137.3%増の69億8000万円だった。コーセーコスメポートの「ソフティモ」「クリアターン」やコーセーセルフブランドの「メイクキープミスト」が増収に寄与した。利益は増収効果に加え、販売費のコントロールを主因に大幅な増益。営業利益率は10%台となった。
その他の事業の売上高は16.9%増の26億8900万円、営業利益は45.9%増の14億2700万円だった。
地域別売上高は、日本が11.4%増の2113億8500万円。化粧品事業のうち、ハイプレステージでは、主要ブランドである「コスメデコルテ」は、スキンケアの新商品・既存品の好調に加えて、24年度に発売したベースメイクが好評を博し、増収。アルビオンは、「アルビオン」ブランドの新商品・既存品の好調に加えて、「エレガンス」のインバウンド需要の後押しによって増収となった。プレステージでは、「雪肌精」の新商品およびプロモーションが奏功したことで、2桁の増収。その他、「ONE BY KOSÉ」や「エスプリーク」も増収に寄与した。コスメタリー事業でも、コーセーコスメポートの主要ブランドを中心に、年間を通じて2桁での売上成長が継続した。
中国は23.0%減の406億2000万円。中国では、ブランド価値の毀損を防ぐため、過当競争からの脱却に努め、各チャネルの特性に応じた販売手法にシフトしたことで、ハイプレステージ全体のトレンドよりも低い売上成長率での推移となった。トラベルリテール事業では、滞留在庫の解消を目的に出荷コントロールを行ったことで減収となった。
北米・その他地域において、「タルト」の売上高は前期比2桁増で推移し、過去最高の売上高となった。販売チャネルではEC売り上げが好調に推移し、商品では重点カテゴリーとして強化しているリップやマスカラの戦略が売上成長に寄与した。その結果、北米地域の売上高は21.1%増の6200億900万円、その他地域の売上高は31.2%増の87億4300万円となった。
25年12月期通期業績は、売上高4.1%増の3360億円、営業利益15.2%増の200億円、経常利益4.4%減の207億円、親会社株主に帰属する当期純利益83.7%増の138億円の見通し。売り上げは、日本の主要ブランドと、欧米を中心に展開する「タルト」が堅調に推移し、中国本土における事業改革やトラベルリテール事業の不振に伴う減収をカバーするのに加え、24年12月に買収したタイのPURI CO.,LTD.(ピューリ社)がフル寄与する。利益面は、増収による粗利益増加に加え、中国本土における構造改革後の収益性向上やタルトの増益によって、トラベルリテール事業の減益を打ち返すことで営業増益を見込む。