コーセーの2023年12月期第3四半期は、売上高が前年同期比9.0%増の2189億6100万円、営業利益が同28.4%増の160億2900万円、経常利益は同6.6%減の210億6700万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は同5.0%減の131億4800万円となった。

主な増収要因は、日本事業および欧米を中心に展開する「タルト」が好調だったこと。利益面では、原価および販管費の増加以上に増収したことで営業利益は増益。しかし、為替差益の減少により経常利益および純利益は減益となった。

セグメント別にみると、化粧品事業は売上高が前年同期比8.5%増の1744億6800万円、営業利益は同2.2%増の157億9400万円。ハイプレステージの主力ブランド、「コスメデコルテ」が日本国内では引き続き好調に推移したほか、「アルビオン」、「ジルスチュアート」や「アディクション」などが伸長。「タルト」も、主力商品の売り上げが好調だった。プレステージでは、「雪肌精」や「ONE BY KOSÉ」の回復基調が継続しており、これらが、韓国や中国の免税チャネルでの苦戦、特に8月の福島原発処理水の海洋放出後のマイナス影響をカバー、全体の業績をけん引した。

コスメタリー事業は、売上高同10.4%増の428億8100万円、営業利益は大幅増の39億2400万円(前年同期は2億6600万円)。「ヴィセ」やコーセーコスメポートの「クリアターン」などが好調に推移した。

その他の事業は、ホテルやゴルフ場向けアメニティ製品の販売が増加したため、売上高は同23.6%増の16億1100万円、営業利益はマーケティングコストの増加により、同17.4%減の6億4700万円だった。

地域別にみると、日本の売上高は同17.8%増の1378億7000万円。特に専門店・百貨店チャネルにおけるハイプレステージが好調に推移した他、ドラッグストアなどのマス市場においても、主要なスキンケアブランドおよび、メイクアップブランドが伸長した。

アジアは、中国・韓国が不調で売上高は同23.2%減の408億1300万円となった。中国は百貨店を中心とするオフラインでは、コロナ禍から回復傾向となったが、売上構成比の高いEコマースとトラベルリテールで減収。代購規制や8月の福島原発処理水の海洋放出の影響を受けた。また韓国のトラベルリテール事業は、流通側の仕入れ抑制により、大幅な減収となった。

北米では、タルトでコンシーラーなどの主要カテゴリーが伸長するとともに、店舗数の拡大、円安の影響により、売上高は同30.2%増の352億8000万円。その他(欧州など)では、タルトが売り上げを牽引し、売上高は同37.9%増の49億9700万円となった。

通期業績については、23年2月13日に発表したものから変更なく、売上高が前年比5.5%増の3050億円、営業利益が同5.1%減の 210億円、経常利益が同28.5%減の 203億円、親会社株主に帰属する当期純利益は同29.1%減の 133億円を見込む。