大塚製薬は2月25日、植物由来成分「ケンフェロール」が細胞内のエネルギー産生を担うミトコンドリアに作用しエネルギー産生効率を高めることを、世界で初めて確認したと「大塚製薬ケンフェロール研究説明会」にて発表した。また、五つのヒト試験により、睡眠の質の向上や運動パフォーマンスの改善など、休息時から運動時まで幅広い日常のシーンで有用性を示すことを明らかにした。

ケンフェロールは植物が生成するフラボノイドの一種で、アブラナ科の植物や、雑穀、豆類、茶葉などに含まれているが、特に西洋わさびの葉に豊富に含まれている。生命活動の源であるエネルギーの産生には、「水」「栄養」とともに「酸素」が不可欠だ。

しかし、酸素を活用する能力は、加齢や生活習慣によって変化することが知られている。大塚製薬は、この酸素の活用こそが健康維持の鍵を握るのではないかと考え、メキシコやケニアの標高2000メートルを超える低酸素環境に居住しながらも高いパフォーマンスを発揮する高地民族の食生活に着目した。そして、世界各地から341種類の高地食材を集め分析した結果、ケンフェロールにたどり着いた。細胞試験ではケンフェロールが低酸素環境下におかれた細胞に対して、酸素を効率よく利用しエネルギー産生を高める方向に誘導する可能性が示唆された。

また、これまでに行ったヒト試験から、心肺機能や自律神経に関する指標の改善、睡眠の質の向上、天気痛の緩和、運動中の酸素利用効率向上などのデータを取得しており、現在に至るまでに基礎研究を含めて九つの論文がアクセプトされている。

さらに、ケンフェロールを摂取すると、睡眠時、安静時、運動時のいずれのシーン・運動強度下でも心拍数の有意な減少が認められた。全ての生物は一生の総心拍数が約30億拍と決まっているため、心拍数が少なくなることは寿命が伸びることにつながる。仮に1分間に6拍減ると、50年で4~5年分の寿命に相当する1億5768万拍の心拍が減る。健康的に寿命を伸ばす可能性も開拓している。

同会には大塚製薬先端科学研究所の池田泰隆所長、ピッツバーグ大学外科学教授/計算システム生物学教授/宇宙生体医科学センター所長のAfshin Beheshti(アフシン・ベヘシュティ)氏が登壇。ファシリテーターをTAZ Inc.社長・ジーンクエスト取締役ファウンダーの高橋祥子氏が務めた。

池田所長は「生命活動の根源にあるエネルギーをどう生み出すのかという観点から身体全体の本質的な課題へアプローチすることが必要だと考えています。病気にならずに生涯を終える人を増やし、この世から健康にかかわる悲しみの涙を減らしたいです」と語った。

大塚製薬のケンフェロールの研究は海外の最先端研究チームとの共同研究にもつながり、米国の学術雑誌「Science」にも紹介されるなど大きな関心を集めている。宇宙飛行による老化などの影響への対策にもケンフェロールは有効と考えられており、共同研究は継続中で、今後の進展に期待が寄せられている。