サントリーウエルネス生命科学研究所は、顧客との継続的な接点を活用し、加齢や生活習慣が健康状態に与える影響について明らかにする中長期の研究プロジェクト「ウエルネスライフ研究」を推進している。その第1期の研究成果として、約1500人の成人男女を対象に、生体・健康データを収集・解析し、研究成果を5月16日に、第80回日本栄養・食糧学会で発表した。

発表演題は「加齢や生活習慣とウエルネス指標の観察データ解析」。①グルコサミン塩酸塩、コンドロイチン硫酸、ケルセチン配糖体摂取と生体指標②日本人のヒト血液における細胞老化マーカーp16と生体指標の関連性③機械学習とSHAP解析を用いた疲労感と関連する因子の包括的評価――を発表した。

サントリーウエルネスは、健康食品や化粧品・美容商品を年間200万人超の顧客に通信販売にて届けている。生命科学研究所では、これらの顧客との継続的な接点を活用し、生活習慣と心身の健康状態の関連を継続的に記録・分析することで、いくつになっても、誰もが自分らしく人生を輝かせ続けられる社会の実現に貢献したいと考えた。

研究にあたり、サントリーウエルネス商品を定期購入している顧客、および一般人から被験者を募集。サントリーウエルネスの顧客約1000人を含む、約1500人の、20~80代、平均年齢60.1歳の成人男女を対象に、関東・関西の2カ所にて調査を実施した。研究期間は2023年6月~26年1月。同調査では、検査やアンケート調査を通して、約3800項目にわたる生体データ(血液・尿・唾液など)・健康データ(食事・運動をはじめとした生活習慣、運動機能、認知機能など)を収集・解析した。

調査の結果、「グルコサミン塩酸塩、コンドロイチン硫酸、ケルセチン配糖体摂取と生体指標」については、グルコサミン塩酸塩、コンドロイチン硫酸、ケルセチン配糖体の3成分を含むサプリメントの摂取期間が1年より長い(中央値:2.3年)被験者は、摂取期間が1年以下(中央値:0.7年)の被験者に比べ、膝の違和感や、日常生活における歩きやすさの体感、および睡眠スコアが良好だった。これにより、上記3成分を含むサプリメントの長期摂取と、膝や睡眠の良好な状態の関連が示唆された。

続いて「日本人のヒト血液における細胞老化マーカーp16と生体指標の関連性」では、細胞老化マーカーであるp16が、日本人においても加齢とともに増加することが確認された。また、p16の発現量が高い被験者では、細胞老化の進行と関連すると考えられているテロメアGテール長(※1)が短く、細胞の炎症指標の発現量が高いことが明らかになった。

最後に「機械学習とSHAP解析を用いた疲労感と関連する因子の包括的評価」についてでは、これまで特定が難しかった疲労感の要因について、生体・健康データとAI解析を組み合わせることで、運動や睡眠などの身体的因子だけでなく、孤独感や周囲との関係性などの精神的因子も関連することが示唆された。さらに、疲労感は複数の因子の組み合わせによって引き起こされ、疲労感の要因は個人によって異なることも示唆された。また、同演題は「日本栄養・食糧学会トピックス賞(※2)」を受賞した。

今後は、同プロジェクトを通して、大規模な生体・健康データの収集・解析の仕組みを構築するとともに、研究成果を商品・サービス開発に活用し、人々のウエルネスな生活の実現に貢献していく。

※1:染色体の端にあるテロメアの先端で、端から少し飛び出した部分(Gテール)の長さ。Gテールとは、最も端にある1本だけのDNAのこと。

※2:話題性や実用性の高い研究成果を広く社会に公開することを目的に表彰される賞で、本年は25演題が選出された。