ライオンは、中東情勢の悪化に伴い、原材料や物流費の上昇などで年内に30億〜40億円規模のコストアップ要因が発生する可能性があるとの見通しを示した。原油高やナフサ由来原料の調達リスクが高まる中、販促計画や限定品投入時期の見直し、調達網の再構築などを進め通期業績計画の達成を目指す。

福田健吾代表取締役兼副社長執行役員
福田健吾代表取締役兼副社長執行役員は、「2026年年初はドバイ原油価格を1バレル70ドル程度で想定していたが、足元では100ドル近い水準を前提に見ている」と説明。そのうえで、中東情勢に伴う影響について「年内ベースで30億〜40億円程度のコストアップ要因になる可能性がある」と述べた。
影響の中心は、ナフサ由来の原料や包装容器、物流費だ。「原料やボトル・パウチなどの包装資材関連がコスト増影響の7〜8割を占める」との認識を示した。洗剤やハンドソープなど日用品は石油化学原料への依存度が高く、ナフサ価格の上昇が界面活性剤や包装材など広範なコスト増につながる構造にある。これに対し、同社は供給制約リスクを踏まえ、生産・販促計画の見直しを進める。期間限定品や販促企画について「発売時期をずらすことを検討している」と明かした。洗濯用洗剤やハンドソープの限定企画が対象になる可能性があるという。
販促面では、小売りとの個別商談を通じて特売条件や販促費を調整し、「実質的な価格是正」を図る方針を示した。一方で、「現時点で一律値上げを打ち出す考えはない」とし、個別対応を基本とする姿勢を示した。 調達面では、主要サプライヤーとの連携を強化する。国内外を横断して情報を集約し、地域ごとに異なる調達先を相互活用する体制を整備。「主要サプライヤーとはトップ同士でも連携している」と説明した。
また、同社は2026年1月から導入した「ビジネスユニット制」による組織改革の効果も強調した。従来の機能別組織では調達部門、生産部門など、それぞれが個別最適に陥りやすかったが、現在は事業側主導で全体最適を判断できる体制に変更。「以前なら出てこなかったような対応策が自発的に上がってくるようになった」と語った。
一方で、今回の中東リスクを一時的な問題とは捉えておらず、「ホルムズ海峡の問題が落ち着いても、以前の状態には戻らないだろう」と指摘。「コスト上昇は数年単位で続く可能性がある」との見方を示し、今後は短期対応に加え、調達構造や事業構造そのものの見直しも進める考えを示した。
なお、26年12月期の通期連結業績は、売上高が前年比1.9%増の4300億円、営業利益が同10.0%増の400億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は同9.4%減の250億円を見込んでいる。






















