コーセーの2020年3月期連結決算は、売上高が前年同期比1.6%減の3277億2400万円、営業利益が同23.2%減の402億3100万円、経常利益が同24.2%減の409億3200万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同27.9%減の266億8200万円と減収減益となった。

セグメント別にみると、化粧品事業は、ハイプレステージ領域の「デコルテ」「インフィニティ」「雪肌精みやび」等はプラス成長となったものの、アルビオンおよび米国タルト社がマイナス成長。また、プレステージ領域においては、メイクブランドの「エスプリーク」はプラス成長だったが、「雪肌精」等がマイナス成長となった。結果、売上高は同1.2%減の2518億9400万円、営業利益は同13.1%減の446億6300万円となった。

コスメタリー事業は、「スティーブンノル ニューヨーク」およびコーセーコスメポートが展開するヘアケアブランド「ビオリス」やエイジングケアブランド「グレイスワン」等が好調に推移。しかし「クリアターン」のインバウンド売り上げが減少、「リンメル」の販売ライセンス終了による影響や、「ヴィセ」等のメイクブランドがマイナス成長となった結果、売上高は同3.6%減の719億1200万円、営業利益は売上原価および販売費が増加したことにより同95.8%減の2億1100万円となった。

その他の事業については、アメニティ製品の販売やOEM生産の受注が増加した結果、売上高は同15.3%増の39億1600万円、営業利益は売上原価が増加したことにより同16.5%減の12億8300万円。

地域別で見ると、アジア市場が前期同様好調に推移したものの、日本市場の不振を吸収仕切れなかった格好だ。日本市場では、インバウンド売り上げが減少したことに加え、大雨・台風などの自然災害、消費増税に伴う駆け込み需要の反動減、新型コロナウィルス感染拡大の影響により、主要な販売チャネルにおいてマイナス成長。百貨店チャネルでは、「デコルテ」やアルビオン等のハイプレステージ領域のブランド、ドラッグストアチャネルやGMSチャネルでは、「雪肌精」のプレステージ領域のブランドに加え、「ヴィセ」等のメイクブランドを中心にコスメタリー事業ブランドの売り上げが減少。これらの結果、売上高は同7.3%減の2225億5000万円となった。

一方のアジア市場は、各国における既存チャネルの育成に加え、免税店やEコマースなど新販路の開拓を強化することにより、インバウンド市場との連携を図るなど、グローバルかつボーダレスなお客づくりを推進。中国からの観光客減少等により台湾・香港はマイナス成長となったものの、免税チャネルが好調な韓国と百貨店・Eコマースともに高成長が続いた中国が売り上げをけん引した。売上高は同25.0%増の643億5300万円となった。

また、北米市場は百貨店チャネルを中心に推進した「デコルテ」育成のほか、米国タルト社は「マスカラ」や「コンシーラー」などカテゴリーごとの製品展開の強化、「Clean Beauty」市場への対応など、新たな顧客層の拡大に取り組んだが、プレステージメイク市場の厳しい環境の影響を受け、売上高は同4.4%減の358億9700万円となった。

なお、連結売上高に占める地域別構成比は、日本67.9%、アジア19.6%、北米11.0%、その他1.5%で、海外売上高比率は32.1%となり、前年に比べ4.2ポイント上昇した。

次期の業績は、売上高を2866億円(前年同期比12.5%減)、営業利益172億円(同57.2%減)、経常利益は182億円(同55.5%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は125億円(同53.2%減)を計画。事業の種類別セグメントの見通しについては、新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大により不透明な経営状態が続くことが見込まれ、合理的に算出することが困難なため、現時点での公表は控えるとしている。また、設備投資243億円、減価償却費119億円を見込む。