コーセーの2021年3月期通期業績は、売上高が前年比14.7%減の2793億8900万円、営業利益が67.0%減の132億9400万円、経常利益が54.2%減の187億4500万円、親会社株主に帰属する当期純利益は55.1%減の119億8600万円と大幅な減収減益となった。

コロナ禍からの回復が早かった中国を中心とするアジアは27.6%増の821億3900万円と大幅に伸長したものの、日本が24.8%減の1674億1000万円、北米がタルトやECの成長はあったもののカバーしきれず25.4%減の264億1800万円、その他が30.5%減の34億2100万円。売り上げ構成比の高い日本の苦戦が響いた。

セグメント別では、化粧品事業が13.3%減。うち、ハイプレステージは、デコルテが中国中心とした海外で売り上げを伸ばし10%増となったが、国内売上比率が高いアルビオンの19%減、米国のロックダウンの影響を受けたタルトの29%減を補うには至らず、全体で10%減と沈んだ。プレステージは26%減だった。なかでも雪肌精は、売り上げが124億円と、19年3月期と比較して半減。国内、海外とも厳しい状況だ。

国内販売が中心のコスメタリー事業は18.7%減。軸となるコスメポートの売り上げが17%減の371億円と振るわなかった。

今期は、決算期を12月に移行するため9カ月の変則決算。21年12月期通期業績予想は、売上高は2380億円、営業利益は200億円、経常利益は205億円、親会社株主に帰属する当期純利益は42億円を見込む。

日本の下期からの回復見込み、中国の高成長、韓国の好調、タルトの米国での流通拡大、欧州でのセフォラ新規出店などを見込み、「収益認識に関する会計基準」適用後の数値では、売上高12.6%増となる見通し。成長ドライバーとなるのは引き続きデコルテで、20~25%伸長する想定。1000億円ブランドの仲間入りをする。そのほかアルビオン、タルトも1桁半ばの成長を見通す。

売上高2桁増を達成するカギになるのはプレステージの回復。ONE BY KOSEでは新商品をゴールデンウィーク明けにも投入する予定。リブランディングした雪肌精の強化、新商品投入で存在感を高めていくONE BY KOSE、新たなメイクニーズをとらえたエスプリークを3本柱に成長を加速する考えだ。

決算会見で登壇した小林一俊社長は、アフターコロナを見据えた構造改革と新しい成長戦略として、「中国、トラベルリテール市場の攻略」「企業、ブランド価値の向上」「事業基盤のさらなる強化」の三つの重点施策をあげ、「目指す姿は究極の高ロイヤリティ企業であり世界で存在感のある企業へ進化すること。その実現のため、日本を代表する化粧品メーカーとして日本独自の化粧文化を創造するという自覚を持ち、事業活動を推進していく」と決意を示した。