コーセーの2024年12月期第3四半期業績は、売上高が前年同期比9.0%増の2387億2500万円、営業利益17.4%増の188億1500万円、経常利益1.8%減の206億8500万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は28.4%減の94億1200万円と、増収、営業利益は2桁増益だった。
売り上げは、日本およびタルトの好調により増収、営業利益は、日本、タルトの増収や中国におけるコストコントロール等により、高い伸びを示している。ただ、日本の売上成長がコロナ禍からの経済活動再開の一巡等により上期に比べて緩やかになったこと、および中華圏ビジネス不振の影響により、前四半期に比べると増益率は鈍化した。経常利益は、為替差益の減少により微減、親会社株主に帰属する四半期純利益は、中国事業の構造改革に伴う特別損失の計上により減益となった。
化粧品事業では、ハイプレステージ、プレステージともに前年同期と比べて増収。ハイプレステージでは、「コスメデコルテ」が日本市場では増収も、中国本土ならびにトラベルリテールでの減収を受けて、ブランド全体では減収となった。しかし、「アルビオン」や「タルト」が2桁成長を継続したことで、ハイプレステージ全体では増収で推移している。プレステージでは、上期同様に「雪肌精」および「ONE BY KOSÉ」が好調な売り上げをけん引している。一方で、売上構成の変化等により原価率は上昇。これらの結果、売上高は7.4%増の1874億4700万円、営業利益1.8%減の155億500万円となった。
コスメタリー事業は、コーセーコスメポートの主要ブランド「クリアターン」等が売り上げをけん引したことに加え、秋冬シーズン商品の順調な立ち上がりにより、引き続き高い売上成長率を維持。また、「メイク キープシリーズ」も引き続き売上高に貢献している。これらにより売上高は15.3%増の494億4000万円、営業利益は73.0%増の67億9000万円となった。
その他の事業は、OEM生産の受注が増加したため、売上高は14.0%増の18億3700万円、営業利益は45.1%増の9億4000万円だった。
地域別売上高を見ると、日本はコロナ禍からの経済活動再開の一巡等により、上期と比べて成長率は緩やかになったものの、全ての販売チャネルにおいて堅調に推移。百貨店・化粧品専門店チャネルにおいては、「コスメデコルテ」や「アルビオン」が両チャネルの売り上げを牽引。ドラッグストア等のマスチャネルにおいては、プレステージの主要ブランド「雪肌精」および「ONE BY KOSÉ」が2桁成長を維持するとともに、コスメタリーの主要ブランドの売り上げも好調に推移した。これらの結果、12.8%増の1554億8300万円となった。
アジアは、中国では、景気の先行き不安による個人消費の弱さに加え、中国企業の台頭による競争が激化する中、市場在庫が滞留する状態が継続。ブランド価値の棄損を回避するために、これまでのような過当競争からの脱却に努め、各チャネルの特性に応じた販売手法の見直しを推進したが、26.5%減の300億1500万円と減収だった。
北米・その他は、北米においては、タルトの堅調に推移したのに加え、円安進行により32.4%増の467億1100万円と大幅増収となった。その他(欧州など)においても、タルトの欧州展開の好調を要因に30.4%増の65億1400万円となった。
24年12月期業績は前回公表数値を修正。売上高は80億円増額し6.5%増の3200億円、営業利益は20億円下方修正し12.6%増の180億円、経常利益は3億円の上方修正で4.2%増の211億円、親会社株主に帰属する当期純利益は46億円下方修正の31.4%減の126億円とした。
売り上げは、日本およびタルトの業績伸長で増額の見通し。営業利益は、収益性の高い中国トラベルリテールが年初の回復見込みを下回って着地することなどを勘案した結果減額とした。経常利益は年初計画より円安が進行したことから為替差益が上振れしたため。親会社株主に帰属する当期純利益は構造改革費用の計上により減額した。