関西弁を織り交ぜ軽妙に語るのに、商売の話になると眼光が鋭くなる。2025年6月26日にロート製薬の社長に就いた瀬木英俊氏は、企業の継続性を強く意識する経営者だ。社員の視野を広げ、グループシナジーを生み出し、収益基盤を強化することにこだわる。日本ヴィックス(現P&Gジャパン)を経て、1997年にロート製薬に入社。28年間のロート人生のうち、前半はマーケティング、国際事業、事業開発に従事。後半は経営企画を長く担当し、ロート製薬の約180社への出資にほぼ関わってきた。国内、海外の隅々までロート製薬を知り尽くす瀬木社長は、これからの成長戦略をどう描くのか。

サイエンスは共通言語になる

――社長に就き改めてロート製薬の強みをどう見ていますか。

瀬木 社員が一丸になって、一歩の差にこだわる組織風土は、独自の競争力を生んでいます。市場はコモディティ化しており、戦略は同質化しがちです。だから、スピードを上げて、競合よりも一歩、先手を打つことが大事。同じ技術でも先に取り組む。競合が少ない国・地域に新規参入する。これにより先行者メリットを得て、成長の礎を築くことができるからです。ロート製薬はトップダウンのピラミッド組織ではなく、みんなで議論するフラットな組織を理想に掲げています。私が入社した頃は売上高500億円ぐらいでしたから、組織を挙げて社員が盛り上がるフラットを実感しているのですが、いまは約2000人の社員が働く3000億円企業です。それだけにセクショナリズムが全くないとは言えず、社員一丸の実体験を積む機会が減っているのではないかと危惧しています。大企業病に陥ってしまったら、規模の原理で働くようになり、社員一丸になることが難しくなる。だから、一例ですが、運動会や社員旅行を開催し、社員間のつながりを生み、一丸になって俊敏に動ける組織風土づくりに努めているんです。

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