化粧品専門店・GMS・ドラッグストアは兼務

資生堂ジャパンは2025年以降、美容部員(パーソナルビューティーパートナー・PBP)の配置基準を変更する。美容部員の役割は皮膚科学、商品知識、スキンケアやメーキャップの施術、立ち居振る舞いなど、美容に関する知識や技術を学び、消費者への応対を通じてブランドの魅力を伝えること。主に百貨店、化粧品専門店、GMS(総合スーパー)、ドラッグストアの4チャネルで活動している。これまで同社は、美容部員の売り場への配置・美容活動の構築などはチャネル別に行っていたが、25年以降は、一人の美容部員が化粧品専門店、GMS、ドラッグストアを兼務できるように改める。

一部日刊紙が報じた「資生堂、美容部員の縦割り打破」は誤報で、狙いは、美容部員の柔軟な配置にある。エリア(商圏)別に集客力のある化粧品売り場に美容部員を重点配置することで、チャネル横断で出会いを最大化する。エリア別に資生堂ブランドのシェアを高めつつ、化粧需要の喚起に結び付ける。美容部員の配置などを運営するのは、25年1月1日に新設する「パーソナルビューティー部」。そして東日本、首都圏、中部、近畿、西日本に「エリアパーソナルビューティー部」を置き、営業部門と連携しながら、化粧品専門店、GMS、ドラッグストアを利用する生活者視点で柔軟かつ効率的に美容部員を配置する。

百貨店美容部員はチャネル横断で配置しない

一方、百貨店の美容部員は、25年1月1日付で新設する「CPB(クレ・ド・ポー ボーテ)ブランド事業部」「SHISEIDOブランド事業部」「戦略ブランド(NARS、ローラメルシエ、ドランクエレファント、BAUM)事業部」にそれぞれ配置。各ブランドの専門知識を学び、価値伝達をスムーズに行う考えだ。例えば、CPBはサイエンスとラグジュアリーを両立する資生堂の最高級ブランド。サイエンスの知見はもちろん、ラグジュアリーブランドに相応しい応対が必須。美容部員はブランド価値に即したスキルを身に付け、応対に当たる。

資生堂ジャパンが美容部員の配置基準を変えるのは、効率化と収益性の向上を両立するためだ。資生堂は24年11月29日、中期経営戦略「SHIFT 2025 and Beyond~アクションプラン 2025-2026~」を発表。「ブランド力の基盤強化」と「高収益構造の確立」を掛け合わせて事業マネジメントを高度化し、安定的に利益拡大できる事業構造への転換を進める。「高収益構造の確立」の鍵は、日本事業(資生堂ジャパン)の収益性のさらなる改善が握る。その一環として、資生堂ジャパンは、生活者起点で組織体制を抜本的に改め、約7000人の美容部員のスキルを生かし、ブランド価値訴求を強化する考えだ。