化粧品ブランドの発表会が増えてきた。ニューノーマル(新常態)と言われるように、オンラインが中心とはいえ、新型コロナ対策をした上で、リアルイベントを開くブランドも少なからずある。久々に出会った仕事仲間との会話は、実に楽しいものだった。なにより、コロナ禍の生活や仕事に辟易しつつも、それぞれの新しいライフスタイルを楽しそうに話す姿が印象に残っている。確かに、新型コロナによって、インターネットやデバイスの利用頻度が高まった。デジタル対応のいかんによって企業の適者生存が進むのは間違いない。化粧品の販売現場で、それぞれのチャネル特性を生かしたEC、デジタルの取り込みが活発化しているのは、その証左だろう。使い古された言葉だが、それでも決して人と人が直に会って話す行為はなくならない。リアルイベントで再会した70代記者の満面の笑みを見たら、そのまま一献傾けたくなった。その気持ちを抑えざるを得ないところに、ニューノーマルに染まりきれない自らの未熟を感じた。人の温もりの伝達とデジタル活用は二律背反かもしれないが、ブレークスルーは近い気がしてならない。一段とリアルの価値が問われる化粧のカウンセリング販売の変化は始まったばかりだ。

月刊『国際商業』2020年09月号掲載