資生堂の2024年12月期第1四半期決算は、売上高は前年同期比3.9%増の2494億5300万円、コア営業利益は9.6%減の113億3400万円の減益。四半期利益は87億4500円、親会社の所有者に帰属する四半期利益は33億円のそれぞれ欠損となった。

事業別売上高を見ると、最も構成比の高い日本事業は、売上高が19.3%増の735億7300円、コア営業利益は売上増による差益増や費用効率化などにより66億6800万円と黒字転換した。経営改革プラン「ミライシフト NIPPON 2025」の実行を通じた収益性改善を進め、成長性・収益性の高いブランド・商品・客接点へ活動を集中させることで成長の加速に取り組み、愛用者数の増加が続いている「SHISEIDO」や「クレ・ド・ポー ボーテ」を中心としたコアブランドで力強い成長を実現したほか、戦略的マーケティングによりファンデ美容液という新カテゴリー創出に取り組み、「SHISEIDO エッセンス スキングロウ ファンデーション」などが好調に推移した。また、訪日外国人旅行者数がコロナ禍前の水準を上回って推移したことを受けて、インバウンド消費も着実に回復した。

中国事業は、売上高が4.2%増の554億7500万円、コア営業利益は機動的なコストマネジメントなどにより1億1200万円に黒字化した。大型プロモーションを中心とした成長から、より消費者のニーズを踏まえたブランド・商品の価値伝達による持続的成長への転換を進めているが、「クレ・ド・ポー ボーテ」や「NARS」が堅調な成長を実現した一方で、ALPS処理水の海洋放出後の日本製品買い控えの影響を受け「SHISEIDO」は前年比マイナス成長が継続した。また「婦人節」のEコマースイベントでは、多様化するEコマースプラットフォームへの展開拡大が奏功して好調に推移し、同社のプレステージカテゴリーでは市場を上回る成長を実現しました。

アジアパシフィック事業は、売上高が11.2%増の171億1500万円、コア営業利益は176.6%増の10億1400万円。一部の国・地域で成長に鈍化が見られたが、タイや韓国を中心として堅調に成長した。「アネッサ」や「SHISEIDO」が好調を維持し、全体の成長をけん引した。

米州事業は、売上高が22.4%増の318億200万円、コア営業利益は140.7%増の35億8900万円となった。新商品が成長をけん引した「SHISEIDO」や、積極的なマーケティングを継続している「DrunkElephant」が好調に推移。24年2月には皮膚科学をベースとしたプレステージスキンケアブランド「Dr.Dennis Gross Skincare」を買収。今後は米州を注力市場とし、成長性・収益性を拡大させる。

欧州事業は、売上高が25.2%増の347億6500万円、コア営業利益は61.7%増の41億7400万円。「SHISEIDO」が着実に伸長したほか、「narciso rodriguez」を中心としてフレグランスが力強い成長を継続した。また店舗拡大とともに積極的なマーケティング活動を進めている「Drunk Elephant」は昨年に引き続き力強い成長を実現した。

トラベルリテール事業は、売上高が22.7%減の298億1500万円、コア営業利益は59.7%減の30億1800万円となった。訪日外国人旅行者数がコロナ禍前を上回る水準まで回復したことを受け、日本において力強い回復を実現したが、中国海南島・韓国では、流通在庫調整や、旅行者回復の遅れ等の影響を受け、売上高は前年を下回った。なお、中国海南島・韓国における流通在庫調整は予定通り進捗し、在庫水準は適正化している。

24年12月期通期業績は、売上高が2.8%増の1兆円、コア営業利益38.0%増の550億円、税引前利益4.7%増の325億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は1.1.%増の220億円と、期初予想を据え置いた。