あまりにも急な社長交代だった。美容機器と化粧品を手がけるARTISTIC&CO.ホールディングス(岐阜県羽島市)の創業者、近藤英樹氏が2021年2月17日に急逝。その後を受け継いだのは長男の近藤竜也氏で、次男の近藤春樹常務取締役、創業者の右腕を務めてきた金松月取締役とともに従業員約150人の急成長企業を率いることになった。同社の強みは、自社工場で磨き抜いた高品質の商品にある。その価値をオンライン、オフラインのマーケティングツールを巧みに使い分け、国内外の顧客に伝えることで、年間売り上げ約300億円の有力メーカーへと躍進した。中国市場では日本製美顔器の認知拡大を引っ張る存在となり、満を持して日本市場の顧客開拓を強化。地元の岐阜県羽島市に本社屋を建設し、攻勢に打って出たのが20年9月。それからわずか半年あまりで、創業者が病に倒れた。当然、成長鈍化が懸念されたものの、21年6月10日に男性専用美顔器(パーソナルフェイシャルトレーニングデバイス)「EXZ HOMME」を数量限定先行発売するなど、日本市場開拓は鈍るどころか、加速している。父親から受け継いだARTISTIC&CO.をどのように成長に導くのか。「モノづくりを極める」と意気込む近藤竜也社長に話を聞いた。

岐阜県羽島市にある本社。生産、物流の拠点でもある

天賦の才を持つ父が築いた企業を引き継ぐ

――故・近藤英樹氏は、自動車販売業から美容業へとビジネスモデルを変えるなど、挑戦を恐れない人でした。突然の訃報をどのように受け止めましたか。

近藤 率直に答えますと、いまだに父がいなくなったという実感がありません。同じ会社で働いていたとはいえ、父は美顔器、私は化粧品のビジネスを手がけていましたし、距離は近いとはいえ事務所も別々でしたから、顔を合わせるのは週に1〜2回ほどだったんです。ですから、2月17日に亡くなった後も、よく昼時にばったり会ったカフェにふらっと戻ってくるのではないか。亡くなる数日前にもカフェで会ったものですから、そのような感覚が頭の中に残っています。

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