資生堂の2025年12月期第1四半期業績は、売上高は前年同期比8.5%減の2282億4100万円、コア営業利益27.2%減の82億5100万円、営業利益72億200万円(前年同期は87億4500万円の欠損)、税引前利益74億800万円(前年同期は38億2700万円の欠損)、親会社の所有者に帰属する四半期利益36億8600万円(前年同期は32億8600万円の欠損)と売り上げこそ減収だったが、営業利益、経常利益、親会社の所有者に帰属する四半期利益は各段階とも黒字となった。

売り上げは、景況感の悪化に伴う消費低下の影響が継続した中国・トラベルリテール事業、「Drunk Elephant」の苦戦が継続している米州事業が2桁の減収となったことが響いた。

コア営業利益は、欧州、米州、中国・トラベルリテール事業などの減益を、日本事業での構造改革効果および全社を挙げたコストマネジメントにて一部相殺し、前年に対し31億円減益にとどめた。

親会社の所有者に帰属する四半期利益は、コア営業利益の減益の一方、前年に非経常項目において主に日本事業の早期退職支援プランに係る構造改革費用を計上したことなどから、前年に対し70億円増益と黒字転換を果たした。

事業別では、日本事業は売上高2.4%減の742億円、コア営業利益は構造改革効果などにより113億円、前年に対し59億円の増益となった。愛用者数の増加が続いている「SHISEIDO」「クレ・ド・ポー ボーテ」「エリクシール」を中心としたコアブランドで力強い成長を実現。また、3月に販売開始した「SHISEIDO」新アルティミューンなど最新技術を搭載した新商品も貢献したほか、注力商品に絞った旅行者向けのデジタル施策展開強化により、インバウンド消費は緩やかな成長となった。ただ、一時的な店頭在庫調整等により減収となった。

中国・トラベルリテール事業は、売上高12.1%減の750億円、コア営業利益は前年に対し26億円の減益の133億円。売り上げは景況感の悪化に伴う消費低下の影響を受けた。中国は、「婦人節」のEコマースイベントで「クレ・ド・ポー ボーテ」や「NARS」を中心に大幅に伸長した一方、オフラインで減収となった。トラベルリテール(空港・市中免税店などでの化粧品・フレグランスの販売)は、訪日外国人旅行者数の増加により、日本において堅調に成長した一方、中国海南島、韓国では、中国人旅行者の消費低調による厳しい状況が継続し減収となった。利益は、売上減に伴う差益減を、固定費低減などの構造改革効果により一部相殺したものの減益。

アジアパシフィック事業では、タイを中心とする東南アジアや韓国で成長し、「クレ・ド・ポー ボーテ」や「NARS」で増収した一方で、台湾での市場縮小の影響を受け、売上高は0.3%減の171億円と減収。コア営業利益は、インフレに伴う人件費の増加や売上減に伴う差益減などにより1億円の欠損。

米州事業は、「クレ・ド・ポー ボーテ」や「SHISEIDO」が増収となった一方、「Drunk Elephant」は前年比マイナス成長が継続したことから、売上高は14.5%減の272億円。コア営業利益は、売上減に伴う差益減などにより19億円の欠損。

欧州事業は、「NARS」に加え、フレグランスでは新商品を発売した「Zadig&Voltaire」が伸長した一方で、「Drunk Elephant」の減収や前年のシステム導入前の先行出荷による高い成長からの反動が響き、売上高は9.2%減の316億円。コア営業利益は4億円の欠損となった。

25年12月期通期業績は、売上高0.4%増の9950億円、コア営業利益0.4%増の365億円、営業利益78.2%増の135億円と増収増益、税引前利益、親会社の所有者に帰属する当期利益はそれぞれ145億円、60億円と黒字転換を見込む。期初予想に変更はない。