人とのつながり重視で郊外店を活性化

地域に根ざす。新型コロナ禍でも高島屋の生きる道にブレはない。グループ総合戦略「まちづくり」に掲げるのは、商業施設の集客力で街の賑わいを生む「街のアンカーの役割発揮」と顧客満足を追う商業施設づくり「館の魅力最大化」の二つ。コア事業の百貨店の化粧品販売では、コロナで顕在化した近場で買い物したいニーズを捉えた郊外店の業績回復が速く、急成長するECでも店舗がある地域からの利用が多かった。それは地域との関係が深い高島屋の特色でもあり、高島屋MD本部化粧品・特選・宝飾品部マーチャンダイザーの田中浩美担当部長は「地域でお店がインフラとして機能する重要性がより明確になった」と見ている。今後問われる店舗とデジタルの融合でも、高島屋は地域に向き合う各店の個性を大事にする独自性を貫く構えである。

「人と人のつながりを大事にしたい」と語るのは、高島屋玉川店販売第1部化粧品・ベルナチュレールセールスマネジャーの舟橋麻美課長だ。コロナ前、玉川店のインバウンド売上比率は約1%。それでも新型コロナの影響は色濃く、2019年10月の消費税増税前の水準には戻っていない。しかし22年2月期第1四半期は「お客さまの戻りが早くなっている」と舟橋課長は説明。その理由は、玉川店がコロナ禍で進めてきた地道な顧客へのアプローチの効果に他ならない。

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