ビューティとウェルネス異なる領域の商材を集める
大丸松坂屋百貨店の「コスメOMOプロジェクト」は、百貨店業態の枠を超え、差別性を生む試みだ。プロジェクトの両輪は、MD機能とメディアコマース機能である。前者は、百貨店らしいラグジュアリーコスメブランドの強化は当然として、従来の延長線上にはない品ぞろえの実現を目指す。一方、後者は、ECとメディアを一体化する試み。大丸松坂屋の公式ECで取り扱うブランドの情報発信を強化し、認知拡大から集客、販売までを一気通貫で行っていく。ラグジュアリーコスメを目当てに訪問したお客に対し、他のカテゴリーの商品を訴求したり、目的買いではないお客の購買意欲を引き出すことも狙う。情報発信に向けて社内に8人体制の編集部を設けたのは、「コスメOMOプロジェクト」への大丸松坂屋の本気度を示している。
大丸松坂屋は2021年3月、MD機能の強化に向けて、化粧品担当という役職をなくし、ビューティ&ウェルネス担当を新設した。ビューティはコスメの上位概念で、化粧品に止まらず、美の未開拓領域に目を向ける。百貨店は、ラグジュアリーブランド以外のカテゴリーに手が出し難かった。その常識は新型コロナを機に始まったブランドの販路拡大で瓦解。大丸松坂屋はラグジュアリーブランドを商売の軸に置くものの、それ以外の施術などのサービスを含むビューティブランドを開拓し、生活者の多様なニーズを取り込む考えだ。
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