ECの活用について製販の利害が一致し始める

化粧品業界のデジタル活用が異例のスピードで広がっている。いずれも新型コロナ対策を意識した非接触の取り組みで、その事例は枚挙にいとまがない。例えば、資生堂の主力ブランド「SHISEIDO」は、伊勢丹のEC「meeco(ミーコ)」と協業しライブストリーミングを実施。2020年7月22日の初回を皮切りに、8月は6日と21日、9月は11日と25日と矢継ぎ早に配信している。また、7月31日にオープンしたブランド初の旗艦店では、非接触のサービスを多数導入。例えば、2階で提供しているビューティーコンサルタント(美容部員)のタッチアップをなくしたレッスン形式のカウンセリング販売、VR(仮想現実)技術で旗艦店をオンライン上に再現したバーチャルストアが、それだ。これらは新型コロナ感染拡大を受けて準備したもの。資生堂がデジタル活用の強化に本腰を入れたことを物語っている。

非接触の取り組みは、資生堂に限った話ではない。ポーラは、ビデオコミュニケーションツール「Zoom」を使ったオンラインカウンセリングを6月から首都圏エリアで試験運用し、8月から全国展開を始めている。花王はAR(拡張現実)技術を「SENSAI」「KANEBO」「ルナソル」「リサージ」「トワニー」「コフレドール」など多くのブランドで積極活用に動いている。大手メーカー幹部は「化粧品業界は、再販制度の撤廃に匹敵する大きな転換点を迎えたのかもしれない」と気を引き締めている。

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