化粧品の物流改革に先鞭をつけたオルビス
多種多様な商品がそろう化粧品物流は人手が掛かる。8月25日に稼働開始したオルビスの東日本流通センターの通販用出荷ライン刷新は、この人手を省くことに力を入れた。名称は「T-Carry system」。330台の小型AGV(自動搬送ロボット)が商品のピッキング担当者の前に自動で移動し、指定の商品が入ると、次の棚に移動。すべての商品を積んだ後は、検査・梱包作業所にいる担当者の前に進む。AI技術を活用した制御システムから指示を受け、集荷から検査、梱包作業場所まで、最適なルートで走行するものだ。小型AGVの動力源はリチウム電池で、残量が少なくなると充電器に自動接続する。さらに手作業だった封函はもちろん、9種の配送箱サイズを自動判別することで出荷方面別の仕分けを自動化。「T-Carry system」の導入で東日本流通センターの出荷件数能力は、以前の物流システムに比べて1.3倍の毎時2400件まで向上。人員も27%削減できたことから、人と人の接触を減らす新型コロナ対策にも一役買っている。
「T-Carry system」は、化粧品の物流現場に一石を投じたのは間違いない。というのは、近年の物流業界では大型AGVが倉庫内を動き回り、作業者の近くに商品を運んでくる「GTP(Goods To Person)」の考え方が主流になっている。この大型AGVの弱点は、1回あたりの買い上げ点数が増えると、複数の棚を動かすことになり、著しく効率が下がることだ。オルビスの場合、1回あたりの買い上げ点数が5品以上になることも珍しくない。つまり、商品数が多い化粧品ブランドでは大型AGVを使うことが非効率で、ベルトコンベアで商品を流し、人がピッキングする旧来の仕組みのほうが有効であるから、普及が進まなかった。
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