畠山「森と海の恋人」は、金銭的な支援は受けず、独立独歩で運営してきましたが、東日本大震災を機に企業の支援を受け入れることにしました。とはいえ、やみくもに企業と連携するわけではありません。やはり、気心が合わないと難しいですよ。その点、コーセーは、ひたむきにモノづくりに取り組む姿勢がある。これまで70社ぐらいの企業から支援を受けていますが、初めての化粧品メーカーがコーセーなのは、気心が一致したからだと思います。

それに、「雪肌精」というブランド名を初めて聞いたとき、少し驚きました。牡蠣が一番美味しい季節は2月から3月。その頃は山に降った雪が溶けて、腐葉土に含まれている森の養分が海に届く。汽水域の植物性プランクトンが増えるから、牡蠣が美味しくなる。一面、真っ白の雪山は、雪のように白い肌、つまり、「雪肌精」を彷彿とさせる。あと、東日本大震災の津波で亡くなった私の母は「雪肌精」を愛用していた、と妻から聞き、あまりにも偶然が多く、「雪肌精」からの支援の申し出は、出来すぎた話だと思いました。

サンゴが育つ水槽を丁寧に観察する畠山さん

それにしても「SAVE the BLUE」が打ち出す「あなたが美しくなると、地球も美しくなる。」は心に残るメッセージですね。「森は海の恋人」もそうなんですが、やはり、女性を巻き込んでいかないと、不思議と、環境保全活動は長続きしませんから、「雪肌精」と「森は海の恋人」の親和性は、とても強いと思っています。

金城 はっきりとはわからないけど、サンゴ保全活動をメディアに取り上げてもらうと、応援したいと声をかけてくれるのは、女性が多いですね。環境問題をどうにかしたい人は多いけど、何をすれば良いのかわからない。そう感じている女性が多いから、「SAVE the BLUE」への反響が大きいんだと思います。女性に寄り添う化粧品メーカーの役割は、一段と大事になると思いますよ。

鎌田 女性にとって、化粧をする時間は、尊い時間です。将来、美しい肌になることを期待しつつ、好みの香りや使い心地を楽しむことで、心が落ち着いていく。さらに「SAVE the BLUE」を展開する「雪肌精」を使えば、毎日のスキンケアの時間に地球環境を意識することも、満足感を高めていくはずです。それが生活者の環境意識を高め、より良い社会を目指すエネルギーになっていく。

「消える乳液?」がコンセプトの「雪肌精 エッセンシャルスフレ」(19年9月16日発売)

そう考えると、ずっと使い続けたくなる商品を提供しなければ、「雪肌精」は女性と社会の期待に応えられなくなります。2019年9月16日に発売した美容乳液という新カテゴリーの新商品「雪肌精 エッセンシャルスフレ」は、「消える乳液?」と言われるほど、使用時の心地よい感触が好評を博しています。当社の研究者が何年も研究を重ねて生まれた使い心地で、美容液のように浸透して、乳液なのにベタつかない。このような魅力的な商品を提供し続けることも、「SAVE the BLUE」の価値を広げていくことに必要だと肝に命じています。