子どもに環境の大切さを伝える
鎌田昌人(以下、鎌田) 「雪肌精」の歴史を振り返ると、決して順風満帆ではありませんでした。売れ行きが好調だった時期もあれば、伸び悩んだ時もあります。1985年に生まれた老舗化粧品ブランドが再び成長軌道を描いたのは、金城さんと「SAVE the BLUE」を始めたことがきっかけでした。
金城浩二(以下、金城) 僕は、南の島にいる、ただのおっさんですよ。コーセーは、そんな僕の活動にまっすぐ向き合ってくれた。風聞で僕を評価するのではなく、実際に「海の種」の現場を見て、サンゴ移植を体験してから支援を決めてくれた。これは、当たり前のことと思うかもしれませんが、環境を守る活動を支援したいという企業はたくさんいるけど、コーセーのように内容を評価して決める企業は思ったよりも少ないんですよ。だから、僕は、コーセーと出会えて嬉しかったことを覚えているんです。
鎌田 昨今、注目されているSDGsについて、コーセーは専門部署を立ち上げて積極的に取り組んでいますが、もともとコーポレートメッセージに「美しい知恵、人へ、地球へ。」と掲げているように、環境問題に真剣に取り組む組織風土が根付いていたのだと思います。
金城 でもね、僕にとって、コーセーの姿勢は、ありがたかったんです。サンゴ育成の大切さを伝えるとき、僕の声は環境問題の専門家には届くけど、普通に暮らす人たち、特に女性に知っていただくことは難しかった。それをコーセーは化粧品を通じてやってくれたからです。僕とコーセーが出会って11年目ですが、それぞれの価値を大切にしながら、サンゴを増やすという目標を共有し、一緒に走り続けられた。コーセーのような伴走者がいなかったら、僕の心は折れていたかもしれない。だから、コーセーに感謝しているんですよ。
鎌田 そのようにおっしゃっていただけて、感無量です。これは生活者と向き合う化粧品メーカーの責務を果たせていることの証ですから、「SAVE the BLUE」に手応えを感じています。
金城 自然を大事にする人だけで議論すると、シンパシーが通じ合うから夢中で話しちゃうんですよ。でも、その議論の中身はマニアックで、一般の方々には響かない。僕の役割は、専門家ぶらずに、平易な言葉でサンゴの現状を伝えること。つまり、僕は「サンゴ礁の通訳者」になりたいと思っているんです。それがコーセーと連携することで実現できたというわけです。