RFID業界で世界最大手のAvery Dennisonは、日本の小売業における在庫管理の課題を独自に分析したガイドブック『その商品は今どこに?在庫データの不正確さがもたらす見えないコスト』を公開。4月9日にメディアセミナーを開催した。

同セミナーでは、アパレルや化粧品専門店など日系小売企業12社(計66店舗)の棚卸データを用いて、小売業界の課題について解説。店頭では、さまざまな要因から帳簿在庫と実在庫の金額の合計に差が生じる。特に、実在庫では存在しないのに帳簿在庫上存在する「ゴーストストック」は、本来発注しなければいけないのに、帳簿上欠品状態になっていないため発注作業がされず、販売機会の損失につながる。

小売店では、こうした差分を明らかにし、棚卸資産を確定するために一定期間ごとに棚卸を行うが、その作業はひどく煩雑。不一致を無くすために、ダブルチェック、トリプルチェックを行うことも少なくなく、大きな負担となっているのが実情だ。

そうした中、同社が提供するRFIDタグを利用することで、その作業時間を大幅に削減できる。セミナーではアパレル店舗での実際の映像なども交え、その有用性を紹介。加藤順也マネージングディレクターは、「化粧品は、カラーなどでSKUが多く、少量多品種。また販売単価が高く、オンラインでの購買ニーズも高いため、RFIDタグとの親和性が高い」と語る。

現在、同社のタグは、シールを別に貼り付けるものの他、商品ラベルに埋め込む形式、紙パッケージに挟み込む、布状のものなど、徐々にバリエーションを増やしている。また、RFIDタグは、在庫管理の他、メーカーのトレーサビリティ向上にも活用が期待できるのも特徴だ。現在、化粧品ではいくつかのブランドで導入が進んでいるが、まだ緒に就いたばかり。今後の拡大に期待したい。

月刊『国際商業』2024年06月号掲載