「僕はポーラさんをリスペクトしています」。コーセー商品開発部の佐々木一郎部長の言葉の裏には悔しさが滲む。それだけシワ改善美容液市場の動きは、想定外の連続だった。

佐々木部長は研究所の出身。女性が日常生活で感じる不満、不便を捉え、それを解消するための研究が理想だと信じている。そのスタンスは4年前に現職に就いても変わらないが、ポーラのシワ改善美容液「リンクル ショット メディカル セラム」の登場で、自身が「常識の罠」に陥っていたことを痛感する。

ポーラは、シワの原因の一つが「好中球エラスターゼ」であることを発見。それを抑制する独自の有効成分「ニールワン」を真皮に届けることでシワを改善する仕組みを採用している。医薬品医療機器等法によると、化粧品は「人体に対する作用が緩和なもので、皮膚、髪、爪の手入れや保護、着色、賦香を目的として用いられるもの」である。佐々木部長は次のように話す。

「真皮に働きかけることは、化粧品業界にとって非常識。真皮でシワを改善するポーラさんの発想自体、僕たちには考えられないことだった」