生活者接点に積極的に投資
― 2023年の事業方針などについてお聞かせください。
直川 今年はチェインストア制度100周年の年にあたり、専門店さまに「素晴らしい1年」と仰っていただける一年間にしてまいりたいと思います。チェインストア制度100周年、これは当社が長年にわたり、専門店さまと共に化粧品業界を支えてきた一つの証です。これからも専門店さまからのご期待に最大限お応えできるよう、常にお客さまを中心に据えて「生活者起点、現場起点」の考えのもと、積極的に生活者との接点に向けた投資を行い、チェインストア制度100周年を飛躍の年にするべく、専門店さまと取り組んでまいります。
資生堂ジャパンとしては、23年は昨年から企画開発の検討を進めていた、お客さまが欲しいと言ってもらえる、そして満足して使い続けてもらえるブランドや商品を導入し、専門店さまと一緒になって育てていきたいと考えています。パーソナルカラー診断で確信したお客さまのメイク意識の高まりにお応えし、またベネフィークに昨年導入したヘアケア&ボディケア、美容サプリメントなど、あらゆる角度からお客さまのご要望にお応えできる商品体系の確立を目指します。店頭へ新たなお客さまにお越しいただけるよう、商品、マーケティングをしっかり強化していきます。
店頭にお客さまが戻ってきていただけることを見込み、リアルでの活動強化にも取り組みます。PBPの呼称に想いを込めたように、お客さまお一人おひとりに寄り添い、「個」に対応する活動を徹底すると共に、そうした活動へのサポートにもしっかり取り組んでまいります。
デジタルに関しては、各専門店さまの状況に合わせた強化を進めます。Beauty Keyは着実に会員数が増えていますので、会員さまが「お気に入りのお店」として登録している専門店さまにご来店いただけるよう、情報発信を強化するとともに、肌分析やメイク分析などの機能強化を進めていきます。
また、チェインストア制度100周年をさらに価値あるものとしていくために、各エリアにおける社会貢献活動を専門店さまと一緒に進めていきたいと考えています。22年後半から大阪府と連携協定を締結し、「地域コミュニティの活性化」「美のエンパワーメント」など本格的な取り組みを開始したので、具体的な成果が現れ次第、皆さまにもご案内したいと思います。
3年間のコロナ禍で、日本では皆が頑張っているのになかなか成果につながらない苦労を経験しました。
23年は専門店さま、そして社員が達成感を感じる年とするのが、資生堂ジャパンの責任者としての仕事だと考えています。
― 最後に専門店へのメッセージをお願いします。
直川 「チェインストア制度」は1923年9月の関東大震災で壊滅的な被害を受けた資生堂を再建する際、当時の支配人・松本昇が立案し、同年12月に打ち出した「化粧品連鎖店制度」が原点です。当時、化粧品業界は乱売、値引き競争が過熱化し、小売店さまや問屋さま、我々メーカーも苦しい経営を強いられていました。日本初のチェインストア制度は、松本昇が米国留学で学んだ仕組みで、小売店さまや問屋さまの適正な利潤確保を強力に推進するものでした。チェインストア制度の導入により、営業基盤が確立され今日に至っています。化粧品専門店の皆さまとの強固な信頼関係に支えられ100周年を迎えることができたことに、改めて感謝を申し上げます。
この制度導入の礎である「共存共栄」の精神をもって、これから先の100年に向け専門店さまと新たな歩みを進めていきたいと考えています。先行き不透明な状況が続きますが、専門店さまと共に、時代の変化に伴うお客さまニーズにお応えし、新しい価値を創造していくことに資生堂ジャパン㈱の社員が一丸となり全力を尽くしてまいります。専門店の皆さまには、23年も引き続き、厚いご支援・ご協力の程宜しくお願い致します。