化粧品ビジネスの三つの体験が進化
いつでも、どこでも肌状態を測定。季節の変化に応じた美容情報を参考に、自分らしい美を磨き続けたい――。こんな生活者の願いに寄り添うのが、資生堂が9月7日に提供を始めた新会員サービス「Beauty Key」である。これまで小売店単位で管理していた顧客情報を一元化(One ID化)することで、顧客と小売店それぞれにメリットを生んでいる。例えば、顧客は場所や時間を選ばず、自分に適した美容サービスや会員特典が受けられる。一方、小売店は購入履歴などの顧客情報を生かし、より満足度を引き出す応対を提供できる。「Beauty Key」参加店は、日本国内の化粧品専門店、デパート、GMS、ドラッグストアなど、店頭情報システム「S-CORE(エスコア)」を導入している約3500店。全国の店舗網をカバーする「Beauty Key」は、公式スマホアプリを用いて生活者一人一人が望む美に寄り添い、その実現を資生堂と小売店が協力してサポートする仕組みと言えるだろう。
資生堂が「Beauty Key」を開発したのは、大きく変化する社会と生活者に対応するためだ。例えば、日本の人口は50歳以上が半分を占める。2030年にはビューティー市場の68%が45歳以上の生活者になるといわれている。一方、消費の二極化はもちろん、豊富な情報が得られるデジタルとの接触機会が増えることで、価値観の多様化も加速していく。そして生活者のウェルビーイングへの意識は高まり、健康寿命も伸び続けるだろう。そうなると、生活者の化粧行動や購買行動も変わり続ける。「デジタルは便利だが、感触や香りが確かめられないのは不満」「ECは商品が豊富すぎて、自分の今の肌に適した商品が見つからない」など、生活者の悩みは、これまで以上に細かく、強くなる可能性がある。だから「資生堂のビジネスモデルも変わっていかなければいけない」と資生堂インタラクティブビューティーDX本部デジタル戦略部戦略企画グループの大槻開氏は説明する。
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