資生堂は、「ボトル製造」と「中味液充填」をワンステップで実現する技術「LiquiForm(リキフォーム)」を世界で初めて化粧品に採用した、環境負荷軽減に貢献する化粧品のつけかえ容器を開発したと発表した。

「LiquiForm」とは、オーストラリアに拠点を置く包装事業の多国籍企業AMCOR(アムコア)社が中心となって開発した新規容器技術であり、同技術を実用化した、プラスチック製品メーカーの吉野工業所(東京都江東区)と資生堂が共同でつけかえ容器を開発。

「LiquiForm」は、従来のつけかえ容器のように既に成型された空ボトルに中味を充填するのではなく、容器のもととなるプラスチック部材を加温して柔らかくし、そこに圧力をかけて中味を充填することで、中味充填とボトルの成型を同時に行うという技術だ。

これにより従来容器工場から充填工場へ輸送していた空ボトルの輸送が不要になり輸送時の破損・変形の懸念がなくなる。つけかえ容器を薄い設計にできるため、容器単体のプラスチック使用量を削減できるだけでなく容器全体のデザインの幅も広がり、お客が化粧品に求める世界観や高級感など心理的な満足感につながるプレミアムな容器を実現することができる。

「LiquiForm」を採用したつけかえ容器

そうした中、今回、化粧品容器の製造に関する吉野工業所の知見と、製品の品質保証、デザイン性や仕様など化粧品製造に関する資生堂の知見を活用し、「LiquiForm」を化粧品容器に応用可能となった。

「LiquiForm」を活用したつけかえ容器は、容器単体のプラスチック使用量を約70%削減可能で、原材料調達、生産、使用、廃棄のサプライチェーン全体で、資生堂の標準的な従来のつけかえ容器(同容量)に対して約70%のCO2排出量を削減できるという。また、単一素材設計なので、リサイクル適性にも優れている。

資生堂は、この新規容器が、環境課題を考える機会やお客が参加できる課題解決の新たな選択肢になるとの考えを示し、同容器を活用した商品をプレステージブランドなどで展開する予定だ。