資生堂は、男性の肌の研究でも先頭を走っている。直近の成果は二つある。一つは、男性ホルモンにより皮膚免疫が低下するメカニズムを解明したこと。もう一つは、男性は女性よりも肌のストレス耐性が低いと明らかにしたことだ。どちらの新事実にも世間は驚いた。男性化粧品市場で資生堂の存在感は高まるに違いない。

男性と女性には免疫応答に違いがある。例えば、男性は女性よりもワクチンに対する反応性が低いことや、免疫が過剰になる自己免疫疾患の罹患率は女性に比べて極めて低いことが知られている。また、ランゲルハンス細胞(LC細胞、※1)は、男性ホルモンの投与によって減少することが報告されているが、LC細胞の重要な機能である刺激応答鎮静化機能に関する影響については明らかになっていなかった。今回、資生堂は、男性ホルモンがLC細胞の重要な機能の一つである刺激応答鎮静化機能を低下させるとともに、LC細胞の前駆細胞(LC前駆細胞、※2)の誘引因子の発現を減少させることでLC細胞の成長を阻害することを発見。これにより、初めて男性ホルモンにより皮膚免疫が低下するメカニズムが解明されたことになる。

※1骨髄でつくられる樹状細胞で、表皮で網目状のネットワークを形成するように存在し、皮膚免疫において重要な役割を果たしている。1886年に発見した医学者パウル・ランゲルハンスにちなんで名づけられた。

※2前駆細胞とは、幹細胞から特定の細胞へ分化する途中段階の細胞のことで、真皮に存在するLC前駆細胞は、表皮に移動して分化すると、正常なランゲルハンス細胞として免疫機能を発現する。

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