クラシエは10月7日、加齢に伴う毛髪のごわつきに着目した研究成果を発表した。同社が約20年にわたり研究を続けてきた「ゆがみ毛」について、毛髪内部の柔軟性が不均一になっていることを新たに発見。さらに、ヒマワリ由来の油脂成分「ヒマワリバター」が毛髪の硬さのばらつきを改善するとともに、ヒマワリ由来脂質成分と浸透促進成分の組み合わせによって毛髪内部の脂質と水分の分布を整える効果を確認した。今回の研究成果は2027年の化粧品国際学会で発表する予定で、同年春発売のヘアケア製品への応用も計画している。
同社はこれまで、うねりやくせ、パサつきなどを伴う毛髪を「ゆがみ毛」と定義し、その発生メカニズムや補修技術の研究を進めてきた。今回は、30代後半から40代前半の女性に多く見られる髪の「ごわつき」に着目。従来の研究で主に扱ってきた毛髪表面の状態や水分量に加え、毛髪の硬さや強度といった物理的特性を改めて検証した。
研究では、同一人物から採取した30歳時と40歳時の毛髪を比較した。その結果、毛髪の水分量はいずれも12%前後で有意差がなく、ツヤや表面の滑り性にも大きな変化は認められなかった。一方、毛髪の曲がりにくさを示す「曲げ剛性」は30歳時の0.49から40歳時には0.58へと上昇。毛髪強度は低下しており、加齢によって髪が硬く、もろくなることが示唆された。
研究内容を説明した同社ホームプロダクツカンパニービューティケア研究所第二研究部ヘアケアグループの千葉真樹子研究員は「毛髪の水分量は30歳から40歳にかけて変わらないことが分かった。そのため、内部構造の変化が硬さに寄与していると考えました」と説明。加齢による髪質変化は、単純な水分量の減少だけでは説明できないことを強調した。
そこで、原子間力顕微鏡(AFM)を用いてゆがみ毛の断面をナノスケールで観察したところ、硬い部分と柔らかい部分が混在し、毛髪内部の柔軟性が不均一になっていることが明らかになった。
この発見を受け、同社は柔軟性の分布を均一化する観点から、ヒマワリ由来の水溶性成分や油溶性成分などをスクリーニング。その結果、ヒマワリバター(成分表示名:ヒマワリ種子油脂肪酸フィトステリル)による作用に着目した。
ヒマワリバターは、バター状の物性を持つ植物性油脂である。ゆがみ毛に処理して再びAFMで観察すると、未処理毛で見られた硬さのばらつきが改善し、毛髪内部の柔軟性が均一化する様子を確認した。また、ヒマワリバターを配合した製剤で処理した毛髪は、無配合の製剤で処理した毛髪に比べて曲げ剛性が低下し、柔らかくなることも確認された。
これらのことから、毛髪全体の硬さを単純に低下させるだけでなく、硬さのばらつきを整えることが、しなやかで扱いやすい髪につながる可能性を示した。
一方、毛髪内部の補修については、ヒマワリ由来脂質成分と浸透促進成分「シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコール」を組み合わせた効果を検証。顕微赤外分光分析(顕微IR)によって毛髪断面の脂質と水分の分布を可視化したところ、未処理毛では分布に偏りが見られたのに対し、処理後は毛髪内部の脂質と水分がより均一に分布していることが確認された。ヒマワリ由来脂質成分にはヒマワリ種子油、ヒマワリ芽エキス、ヒマワリ花エキスを使用しており、浸透促進成分との併用によって毛髪内部の補修効果を高めることが期待される。
今回の研究の特徴は、毛髪のごわつきを表面の手触りだけでなく、毛髪内部の物性や成分分布の観点から捉え直した点にある。千葉研究員は「毛髪は個人差が非常に大きいため、異なる人の毛髪を比較しても正確な評価が難しい」とし、今回の加齢変化の検証には自身が10年おきに採取、保管してきた毛髪を活用したことを明かした。
同社は、ヒマワリバターによる柔軟性の均一化と、ヒマワリ由来脂質成分による毛髪内部の脂質・水分バランスの改善を組み合わせることで、ごわつきを補整し、しなやかで扱いやすい髪へ導く技術の確立を目指す。研究成果は、27年春発売のヘアケア製品に応用する予定で、長年にわたり蓄積してきたヒマワリ研究を、加齢による新たな髪悩みへの対応につなげていく考えだ。



























