ドイツの化学品メーカーであるエボニック インダストリーズは、2025年3月10日に2024年度業績を発表。売上高は152億ユーロでほぼ前年並みで着地。それに伴い収益性も大幅に改善し、調整後EBITDAマージンは前年同期の10.8%から13.6%に上昇した。
クリスチャン・クルマン取締役会長(CEO)は、「昨年は経済的・政治的逆風に見舞われる中、当社は業績を回復させることができました。依然として厳しい環境が続いていますが、その成果は今年も発揮されるでしょう。今後も引き続き、精力的に取り組む必要があります」と述べた。
事業部門ごとの業績では、スペシャルティアディティブスの売上高は2%増の35億7800万ユーロと増収。販売数量の大幅増にけん引されたが、材料費の低下を価格に転嫁したこと、またわずかな為替のマイナス影響があったことによる販売価格の下落が足かせとなった。建設・コーティング業界向け製品の需要は大幅に拡大したものの、販売価格はわずかに下落した。全体として、売上高は前年度を大幅に上回る結果となった。オイルアディティブス部は、販売数量の拡大により、売上高が増加した。ポリウレタンフォーム用添加剤や耐久消費財用の添加剤の売上高は、販売価格の下落傾向によりわずかに減少した。クロスリンカー事業は、非常に競争の激しい価格動向により、売上高は前年度を下回った。調整後EBITDAは11%増の7.44億ユーロ。これは主に販売数量の大幅な増加と、それに伴う生産工場の稼働率向上、コスト削減が要因である。 調整後EBITDAマージンは前年の19.1%から20.8%に上昇した。
ニュートリション&ケアの売上高は、販売数量の微増に加え、アニマルニュートリション部の販売価格が前年同期比で上昇したことにより、4%増の37億6400万ユーロ。必須アミノ酸事業(アニマルニュートリション)は、販売数量の微増と、特に販売価格の上昇の恩恵を受け、売上高は大幅な伸びを見せた。ヘルスケア部の売上高は前年同期並みとなった。例年通り、化粧品業界向け機能性成分のシステム・ソリューションは好調に推移した。スロバキアで革新的なバイオサーファクタントの一種であるラムノリピッドを生産する工場は、24年に初めて売り上げに貢献した。調整後EBITDAは54%増の6億100万ユーロ。これは、必須アミノ酸の販売価格上昇と、同事業のビジネスモデルの最適化によるコスト削減が主な要因だ。その結果、調整後EBITDAマージンは前年の10.8%から16.0%に増加した。
スマートマテリアルズの売上高は、販売数量の増加と販売価格の下落による影響が相殺され、前年並みの44億5000万ユーロだった。無機製品、特にシリカと触媒の需要が増加したが、販売価格の下落により、売上高は前年並みにとどまった。また、ポリマー事業でも販売数量が増加傾向にあり、例えばポリアミド12は、販売価格の下落にもかかわらず、売上高は微増となった。調整後EBITDAは11%増の6億100万ユーロとなり、主に販売数量の増加と変動費の削減にけん引された。調整後EBITDAマージンは12.1%から13.5%に増加した。