コーセーの攻めの戦略とポーラ社長人事に注目

桑原 コーセーは24年11月11日に中長期ビジョンを発表。翌12月にホリスティックウェルネスブランド「PAÑPURI(パンピューリ)」を展開するタイ企業ピューリ社を買収。このスピード感は高く評価しています。国内事業を見ても、コーセーコスメポートが競合に対抗する商品を出すなど、戦略が柔軟でスピードも速くなっています。またプレステージブランドの販路である化粧品専門店との結びつきが強いのも、業績を支えている。懸念点とすれば、小林(一俊)社長の存在が大き過ぎること。中長期ビジョンで示したグローバル戦略が順調に進んだら、小林社長の目が行き届かなくなるでしょうから、人材育成が喫緊の課題ではないでしょうか。

宮迫 これまでポートフォリオになかったフレグランスを手に入れたのは、大きな成果だと思います。ただ、私はまだ様子見の段階です。

桑原 タイの伝統的なウェルネスアプローチやクリーンで効果を実感できる処方を採用しているのは、いまのトレンドに適しています。ただ、この3年間で急速に業績を伸ばしており、その中身を精査したいというのが正直なところですよね。

宮迫 もう一つ、25年以降の焦点は、免税を含む中華圏市場とグローバルサウス市場において、グループ横断のコスメタリー事業体制を構築することです。これまで別々に動いていたコーセーとコーセーコスメポートを有機的に連携させることができるのか。ローカルブランドが跋扈する市場において、差別性と価格優位性を備えた商品を出せるのか。そして、どんな機能性で勝負するのか。具体的な戦略の発表を待っています。また26年1月をめどに純粋持ち株会社体制への移行を検討していますが、グループ戦略としてアルビオンへの投資を増やせないか。これまでのように事業会社別に成長投資を行うより、効率的かつ合理的になると期待しています。またマンダムは、戦略と結果に西村(健)社長の色が出始めています。計画以上に収益改善が進んだのも、インドネシアの流通在庫の一括処理をできたのも、オーナー経営の強みが生きているからでしょう。しかし、新ブランドと既存ブランドの強化は道半ばで、不透明感が強い。また25年のインドネシア市場は新商品を入れて、マーケティングコストを掛けるのですから、必ず数字は上がる。それが26年、27年と継続するのかを確かめたい。

桑原 ポーラ・オルビスグループの社長人事は変化が起こる予兆を感じます。特にオルビス社長からポーラ社長になった小林(琢磨)氏の人事は、これまでになかった大きな動きです。ポーラの委託販売チャネルは地方で店舗数が減っており、ビューティーディレクター(BD)の成り手不足も深刻ですが、投資を継続しています。小林さんが社長になることで戦略が変わり、例えば、オルビス流のデジタル活用が進み、委託販売チャネルの反転攻勢が始まることを期待しています。

宮迫 小林社長はトラックレコード(実績)が良いですから、どうしても期待値は高くなる。ポーラは23年、24年と2年間も数字が芳しくなかったので、さすがにプラスには転じるでしょう。もちろん、EC主体のオルビスとはビジネスモデルが全く違うので、変革に向けたマネジメント手法も見どころです。