タカラベルモント―毛髪研究2題をIFSCCにてポスター発表

タカラベルモントは、化粧品研究開発部が、2024年10月14〜17日にブラジルにて開催された「第34回IFSCC Congress 2024イグアス大会」において、ポスターセッション部門で毛髪に関する二つの研究成果を発表した。

同大会は、国際化粧品技術者会連盟(IFSCC)が毎年主催するもので、世界の化粧品技術者が一堂に集う最も権威のある学術大会。全体で世界26か国から900題以上のエントリーがあり、今回タカラベルモントからは、「硬水が毛髪にもたらすさまざまな後遺症からの解放」と「ブリーチ毛におけるメラニン挙動と見た目の明るさとの関係の解明」の2題が選出され、発表を行った。

「硬水が毛髪にもたらすさまざまな後遺症からの解放」の要点を3点にまとめた。

硬水は毛髪にパサつきやざらつきといった表面的な影響を与えるだけでなく、毛髪の脆弱化や成分の流出といったダメージの原因になり得ることを発見した。これはイオン結合の切断による可能性がある。

硬水の中に含まれる金属イオンと毛髪中にあるカルボキシル基は結合すると不溶性となり、水では洗い流しにくいため、硬水の影響は一定期間持続することを発見した。

毛髪を膨潤させる尿素誘導体と、金属イオンを除去するキレート剤を独自に組み合わせることによって、硬水による後遺症からの解放を達成した。

以下は当日発表者だった化粧品研究開発部第一研究所の平山貴寛研究員からのコメントだ。

「ヨーロッパやアメリカ、アジアにも硬水の地域は多く、当社のヘアケア製品をグローバルマーケットで展開していくために、硬水が毛髪に与える影響を解明することは必要不可欠だと考えています。この研究は世界中の人々のヘアスタイルによる自由な自己表現をより豊かにし、また日本国内においても海や温泉などで毛髪の質感が悪くなってしまうことに対する一つの解決策になると確信しています。〝真〟の意味で、世界中の人々の『美しい人生を、かなえる』ために、引き続き『水』に関する研究を進めて参ります」

「ブリーチ毛におけるメラニン挙動と見た目の明るさとの関係の解明」では染髪処理での毛髪の明るくなりやすさについて調べた。カラーやブリーチ処理による毛髪の明るくなりやすさは人によって異なるが、その原因については未だに解明しきれていない。今回タカラベルモントは、複数の人種の毛髪のメラニン量や分布、そして異なる脱色剤で処理した際のメラニンの挙動と見た目の変化を調べ、メラニンの量だけでなく分布の違いも毛髪の見た目において重要であり、メラニン量が同等でも、毛髪の外側に位置するメラニンが明るいほど、毛髪の見た目も明るくなることが分かった。さらにメラニンの分布が明るくなりやすさにさえ寄与している可能性を見出した。

当日発表者だった化粧品研究開発部第二研究所の尾澤佑輔研究員のコメントは以下の通り。

化粧品研究開発部第二研究所 平山貴寛 研究員(右)
化粧品研究開発部第一研究所 尾澤佑輔 研究員(左)

「デザインカラーの流行に伴い、毛髪の脱色がより身近なものになっています。そのような社会の変化において、毛髪脱色時のメラニンの挙動を解明することで、現在よりも短時間あるいは少ない回数のブリーチでの髪の高明度化や、ライトナーでブリーチ級の脱色などが実現できると考えています。これが可能となれば、今までケア成分や、ケア剤などで対症療法的にカバーしていたダメージを根本から削減し、髪への負担を軽減したヘアカラーができます。このような革新的な技術を培い、製品を生み出し、誰もがもっと気兼ねなくファッションを楽しめる世界を目指します」