日本メナード化粧品は、藤田医科大学応用細胞再生医学講座(教授:赤松浩彦)および皮膚科学講座(教授:杉浦一充)との共同研究により、皮膚老化の新たなメカニズムを明らかにした。
同研究では、本来は炎症を抑制する働きを持つ免疫細胞の一種「制御性T細胞(Treg)」が、加齢に伴って慢性炎症因子であるIL-17を分泌する異常なTregへと変化することを確認した。さらに、これにより過剰に分泌されたIL-17の影響によって、マクロファージによる老化細胞の除去機能が抑制され、その結果として老化細胞が皮膚に蓄積することを発見した。
これらの知見から、異常化したTregによるIL-17分泌を抑制し、マクロファージの老化細胞除去機能を正常化できれば、新たな皮膚老化の予防につながると期待される。
正常な細胞は、紫外線などのダメージを受けることで老化し、正常に機能を発揮できないだけでなく、SASP因子(老化細胞が分泌する炎症物質や組織を分解する酵素などのタンパク質群の総称)と呼ばれる、組織を傷害する炎症性サイトカインやコラーゲン分解酵素などを周囲に分泌することが知られている。近年の研究から、加齢に伴ってこのような老化細胞が体内に蓄積していくことが明らかになっており、その結果、組織が慢性的な炎症状態に陥り、老化がさらに加速すると考えられている。そのため近年では、老化予防において、老化細胞を適切に除去し、体内に蓄積させないことが重要であるという考え方が広がり、老化細胞を特異的に除去する薬剤の開発が進められている。
本来、このような老化細胞は、免疫細胞の一種である「マクロファージ」によって除去されている。また、過度な炎症を抑制するために、免疫細胞であるTregが働き、慢性炎症が生じないように調整していることが知られている。このように生体には、老化細胞を除去するとともに炎症を抑えることで、老化の進行を防ぐ抗老化の仕組みが備わっている(図1)。
しかしながら、実際には加齢により老化細胞が蓄積し(図2)、慢性的な炎症が生じることが確認されている。そこで同共同研究グループは、免疫系細胞の働きに着目し、加齢による皮膚の慢性炎症および老化細胞の蓄積にどのように関与しているのかについて詳細に解析を行った。
Tregについて、皮膚における加齢変化を解析したところ、加齢に伴い、慢性炎症因子であるIL-17を分泌する異常なTregの割合が増加することを確認した(図3)。さらに、TregがIL-17を分泌する異常な状態へと変化する原因について検討した結果、老化細胞から分泌されるSASP因子である炎症性サイトカインIL-1βとIL-6が、TregにおけるIL-17の分泌を促進させることが明らかになった(図4)。
次に、異常なTregから分泌されるIL-17について詳細に解析した結果、IL-17がマクロファージによる老化細胞の除去機能に影響を及ぼすことが明らかになった。
皮膚の真皮では、マクロファージが細胞死を誘導する因子を分泌し、老化細胞を死滅させ、除去していることがわかっている。そこで、同研究では、このマクロファージによる細胞死誘導に対するIL-17の影響について調べた。
その結果、IL-17に曝露された老化細胞は、マクロファージによる細胞死誘導に対して抵抗性を持つようになることが分かった(図5)。
同共同研究グループはこれまで、マクロファージによる老化細胞の除去機構に着目し研究を進めてきた。今回、皮膚の真皮における老化細胞の蓄積メカニズムを解析した結果、本来は炎症を抑制するTregが老化細胞から分泌されるSASP因子により異常化すること(①)、異常なTregが慢性炎症因子IL-17を分泌すること(②)、分泌されたIL-17によりマクロファージによる老化細胞除去機能が抑制されること(③)、その結果、老化細胞が蓄積して慢性炎症状態になること(④)を明らかにした(図6)。
これらの知見から、TregによるIL-17の分泌を制御することで、老化細胞の除去を正常化し、皮膚の老化予防につながると期待される。
なお、この研究成果は国際学術雑誌「Experimental dermatology」のオンライン版に掲載された。





























