ポーラ化成工業―美容医療施術と医薬部外品有効成分の複合ケアの安全性について研究発表
ポーラ・オルビスグループの研究・開発・生産を担うポーラ化成工業は、ALOOP CLINIC & LABとの共同研究で、美容医療施術とシワを改善する医薬部外品有効成分ニールワン配合製剤を併用した試験結果を解析し、美容医療施術単独と同等の安全性であることを確認した。ニールワンは、2016年に厚生労働省に史上初めて「シワを改善する」医薬部外品として承認された、ポーラ・オルビスグループが独自に保有するシワ改善有効成分だ。
高密度焦点式超音波(HIFU:High Intensity Focused Ultrasound)施術とニールワン配合製剤のホームケアを併用する試験において、併用に起因する肌トラブルは観察されなかった。
美容医療は、適切な用途、方法のもとで実施される限り、その安全性は担保されているが、皮膚への影響も少なくない。市販されている医薬部外品も、健康な皮膚に適切に使用される限り、重篤な皮膚障害が生じる可能性は極めて低いと考えられるものの、美容医療の普及に伴い、美容医療での施術後、ホームケアにおいて医薬部外品が使われることも十分に想定される。しかし、軽微な炎症状態にある施術後の皮膚に対する医薬部外品の併用については、安全性を正確に評価した報告はほとんどない。
たるみ改善のためのHIFU施術に続き、ホームケアにて医薬部外品有効成分ニールワンを配合した製剤を3カ月間使用する試験を行い、その間の肌の状態を観察することにより複合ケアについての安全性を検証した。
23名の被験者にHIFU施術を1回行い、朝晩のホームケアとして顔の半分にニールワンが配合されていないプラセボ製剤(HIFU施術単独側)を、反対側の顔にはニールワン配合製剤を塗り(複合ケア側)、左右の皮膚所見(肌状態)を比べた。なお、試験期間中、被験者にも皮膚科専門医にも各クリームでのニールワン配合の有無は伏せた。その結果、冬の乾いた空気による乾燥やHIFU施術による赤味などの皮膚の変化は観察されたが、顔の両側でほぼ等しく発生しており、ニールワン配合製剤の併用に起因する皮膚障害は認められず、HIFU施術単独と同等であることが分かった。
また、美容医療施術と美白の医薬部外品有効成分ルシノール(4-n―ブチルレゾルシノール)配合製剤を併用した試験の結果を解析し、美容医療施術単独と同等の安全性であることも確認した。ルシノールは、ポーラ・オルビスグループが独自に開発し1998年に厚生省(現、厚生労働省)に承認され、約30年にわたり販売実績を有する医薬部外品の美白有効成分だ。
肝斑にレーザートーニング(LT)施術とルシノール配合製剤のホームケアを併用する試験において併用に起因する肌トラブルは観察されなかった。
肝斑を対象としてLT施術を繰り返し行いながら、ホームケアにて医薬部外品成分ルシノールを配合した製剤を併用する12週間の試験を行い、その間の肌の状態を観察することにより複合ケアについての安全性を検証した。
48名の被験者を2群に分け、2週間ごとに6回のLT施術を行う「LT単独群」と、LT施術に加えてルシノール配合製剤を朝晩のホームケアとして毎日塗布する「複合ケア群」について、皮膚所見(肌の状態)を比べた。その結果、発生した有害事象は両群でほぼ等しく、さらに冬の乾いた空気やLT施術によるものと判定されたため、ルシノール配合製剤を併用したことに起因する皮膚障害は認められず、LT施術単独と同等であることが確認できた。
なお両研究成果は24年11月に開催された第88回日本皮膚科学会東京支部学術大会で発表された。