ファンケル―フリーズドライ製法のドッグフードのアレルギー性皮膚疾患への有用性を確認
ファンケルは、フリーズドライ製法で作られたドッグフードがアレルギー性皮膚疾患の犬の食餌として有用であることが示されたと明らかにした。
ファンケルは、一般的なドッグフードでは採用しないフリーズドライ製法で作ることにより、たんぱく質の消化が良く、腸内環境の悪化が抑えられることをすでに第23回日本ペット栄養学会で報告している。今回、このフリーズドライ製法で作られたドッグフードを、皮膚にかゆみがあり、アレルギー性皮膚疾患が疑われている犬に、1カ月間給与することで、かゆみスコアおよび皮膚症状の重症度が減少することが、獣医師の評価により確認された。また、飼い主の評価でもかゆみスコアが経時的に減少し、嗜好性が高く評価された。
今回の試験結果は、2024年10月5、6日大阪で行われた、第45回動物臨床医学会年次大会にて発表した。
試験は、皮膚にかゆみがあり、アレルギー性皮膚疾患が疑われ、動物病院を定期的に受診している1歳以上の犬33頭を対象に行われた。普段の食餌に替えて、4種類(鶏ベース、鹿ベース、馬ベース、魚ベース)のフリーズドライ製法で作られたドッグフードを1週間ずつ、計4週間給与。4種類の順番は、飼い主の自由とし、あらかじめ、参加する犬の年齢、体重、体型、活動量を確認し、ファンケルのオンラインサービス「ごはん量シミュレーション」に基づいて設定した給与量を給餌した。
かかりつけの獣医師が、フリーズドライ製法で作られたドッグフードの給与開始前と1カ月間の給与後に診察をし、かゆみと皮膚症状の評価を行った。かゆみの評価にはPVASというVAS評価法を用い、かゆみなしを0、非常に重度なかゆみを10として「かゆみスコア」とした。皮膚症状はアレルギー症状の出やすい10カ所の部位について、紅斑(こうはん)・鱗屑(りんせつ)・苔癬化(たいせんか)・脱毛(だつもう)の重症度を、健常〜軽度を0、軽度〜中等度を1、中等度〜重度を2とそれぞれ評価し、合計した値を「皮膚症状重症度スコア」とした。
その結果、給与前と比較し、給与後にかゆみスコアおよび皮膚症状重症度スコアが有意に減少した(図1)。
また、獣医師が総合的に評価した皮膚症状の改善度は、全体の56.7%が「改善」・「やや改善」、30.0%が「変化なし」、13.3%が「悪化」だった。「改善例」と「変化なし」を合わせて、86.7%の犬が問題なく食べることができたという結果となった(図2)。
飼い主には、給与開始前と開始後1週間ごとに、摂餌量、皮膚症状の変化、便の状態の変化、かゆみスコア(PVAS)を記録してもらい、試験終了後にアンケートに回答してもらった。
その結果、かゆみスコアは、給与前と比較し、給与2週間後から有意に減少し、経時的に減少する傾向が見られた(図3)。
また、飼い主へのアンケートによる嗜好性の調査では、42.4%が普段のフードよりも良いと評価した(図4)。
ドッグフードには、獣医師が治療の目的で処方する「療法食」という食餌がある。アレルギー疾患用の療法食はアレルギー症状の発現を抑えることができるが、たんぱく質を制限しているものが多く、低たんぱくによる弊害が出ることもある。アレルギーの犬が安心して食べられ、かつ十分なたんぱく質を摂るにはどうしたらよいかを検討した結果、ファンケルがたどり着いたのが「フリーズドライ製法」だ。近年、腸内環境が改善されることにより、腸のバリア機能が高まることや、免疫系のバランスが改善し、過剰な反応が抑制されるなど、アレルギー性疾患においても、腸内環境を改善することの重要性が注目されている。ファンケルはこの点にも着目し、フリーズドライ製法では、たんぱく質の消化率が高くなり、腸内環境の悪化が抑えられることを報告してきた。
今回の研究では、実際にアレルギー性皮膚疾患の犬に給与し、有害事象の発現や皮膚症状が悪化せず、問題なく食べることができるかを検証することを目的とした。
新規事業本部ペットフード開発部主査金子いづる獣医師・ペット栄養管理士は、「一般的に、普段食べるドッグフードの有用性に関する研究はほとんどありません。でも、普段のごはんの大切さを分かっていただくには、きちんとしたエビデンスがあることが必要と考え、データを採ることにこだわって研究開発をしています。その実証された良さを多くの飼い主さんに発信し、知っていただくことで、少しでも多くの飼い主さんがごはんの大切さに気付き、少しでも多くのペットがいつまでも健康に飼い主さんとの素敵な時間を共にできることを願い、これからも研究と情報発信をしていきたいと思います」とコメントした。