構造改革に見る最大手2社の覚悟

化粧品業界と日用品業界の両雄、資生堂と花王の2023年12月期決算会見は、トップの不退転の覚悟を感じさせるものだった。決算は両社ともに苦しい実績。化粧品の国内市場は、コロナの5類移行後、人流の回復や外出機会増加で需要が回復傾向にあるものの、資生堂の回復は道半ばだ。海外に目を転じると、中国は経済低迷が続くとともに、福島原発の処理水問題も化粧品販売の逆風となった。資生堂の中国偏重のグローバル戦略は改善が急務である。25年にコア営業利益500億円という必達目標に向け、24年、25年に累計250億円の構造改革を行う。その範囲に聖域はない。原価、マーケティング・その他経費、人財配置最適化・生産性向上に手を入れ、資生堂の成長基盤を確かなものにする。藤原憲太郎社長COOは決算会見で「経営の意思として断行する」と力強く語った。

一方、花王も減収減益と数字は芳しくないが、ベビー用紙おむつ事業の整理断行、茶カテキン飲料「ヘルシア」や「ニャンとも清潔トイレ」の譲渡契約締結、人財構造改革などは、ほぼ予定通りに完遂。同社は日本一の連続増配企業だが、23年12月期決算の実績でも維持。これで25期連続増配になり、花王の矜持を保った。長谷部佳宏社長は決算会見で「構造改革とポートフォリオ管理において初期段階で大きな進歩を遂げた。24年も引き続きK27戦略の推進に注力し、ポートフォリオの強化、株主価値の実現にも重点を置いて収益性の高い成長を推進する」と力強く語った。長谷部社長の改革へのブレない姿勢は高く評価されるべきだろう。

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