戦略的投資を拡大し攻めに転じる資生堂

「底を打つ年にしたい」。資生堂の魚谷雅彦社長が8月10日開催の2022年上期決算説明会で述べたこの一言は、化粧品・日用品業界の共通の思いではないか。資生堂、花王、コーセー、ポーラ・オルビスホールディングス(HD)など、多くの12月決算企業が下方修正を発表した。業績伸び悩みの要因は、国内市場の回復鈍化、原材料価格の高騰、中国での都市封鎖(ロックダウン)などが挙げられる。3年前から続くコロナの逆風に対応しつつ、中長期的な成長戦略を描くことができるか。各社ともに新たな戦略構築、その実行力が試されている。「この状況は3年も続いており、縮小均衡に陥るのではないかと強い危機感がある。だから、戦略的投資を拡大し、攻めに転じる。事業、組織、人財を活性化することこそ、社員を勇気づけ、株主・投資家への期待に応えることだと思っている」と魚谷社長の決意は固い。

化粧品ビジネスの両輪は、日本と中国である。だが、両市場ともに環境改善は想定通りに進んでいない。日本は、欧米に比べて脱マスクの動きが進まず、需要の戻りが遅い。食品などの相次ぐ値上げに伴い消費者の財布の紐は硬くなった。花王によると、22年上期の日本市場は前年同期比約2%増だが、そのけん引役は低価格帯。中価格帯、高価格帯が得意の企業には苦しい展開になった。消費者ニーズへの対応、新しい価値提案による需要創出は喫緊の課題と言えるだろう。

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