インフレ、インフレ、インフレ――2021年以来、欧州中を吹き荒れる嵐は年を明けても落ち着く気配を見せない。コロナ禍による市場収縮、これが引き金となったサプライチェーンの分断、さらにロシアのウクライナ侵攻が欧州の全産業と消費者にエネルギー暴騰という追い打ちをかけている。欧州化粧品業界は、この逆境下でもそこそこの業績を上げ、こつこつと環境戦略を進めているようだ。22年を概観し、持続可能性・生物多様性回復への動きを見てみよう。

欧州では、厳しい経営環境下でも、持続可能性向上のための新たな法が施行されようとしている。EUの企業持続可能性報告指令(Corporate Sustainability Reporting Directive=CSRD)がそれで、欧州で事業展開するほぼ全ての企業に対し、財務ばかりでなく、持続可能性活動(環境権、社会権、人権、ガバナンス要因など)についての年次報告を義務付けるものだ。22年に採択され、24年から施行される。製造過程、成分、容器包装材、産業排水などありとあらゆる面で、環境に与えるインパクトを可視化させ、企業の責任を問うものだ。

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