米国では「中絶」をめぐる是非が政権を揺るがす。特に、福音派を中心とするキリスト教右派を支持基盤とするトランプと共和党が政権をとって以降、その強い影響力は今も続き、ほぼ50年間守られてきた女性が妊娠中絶を受ける権利「プロ・ライツ」が、とうとうこの6月末に米連邦最高裁によって覆されてしまった。これにより判断は各州に委ねられ、7月末現在、米国50州のうち12の州でほぼ禁止、他10州もすぐにも禁止できる状態にあり、安全な中絶を求める女性たちは他州の医療機関に出向かねばならなくなった。

中絶という方法が、あまり道義的・政治的議論にならずに受け入れられている日本では実感できないかもしれないが、欧米では政治家ばかりでなく、芸能人やスポーツ選手、企業でさえも「中立」では通せなくなっている。態度を表明しないのは「中絶禁止でかまわない」ととらえられ、消費者や投資家からそっぽを向かれかねないからだ。米国市場や国際世論を重視する限り、欧州勢も知らん顔はしていられない。

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