コロナ禍2年目の2021年、大詰めまで大型買収案件で揺れたユニリーバが、2月10日、決算報告を行った。同社が狙ったのは、グラクソ・スミスクライン(GSK、本社:英国ロンドン)のコンシューマーヘルスケア事業。同社が戦略的に目指す成長ポートフォリオに適合するビジネスとして望んでいたが、12月20日に提示した買収額500億ポンドで折り合いがつかず、1月末になって断念するというドタバタがあり、ユニリーバにとっては「致命的な誤算」とも伝えられ、一時株価も急落した。しかし、決算報告では、コロナ禍2年目の21年に順調に成長し、近い将来にかけては大きな買収は行わず、シンプルで自身の成長戦略に沿った大規模な組織改革を行って、「オーガニック・グロース」(現行のブランド・ポートフォリオをベースに事業を成長させること)を目指すとした。

コロナ禍1年目の20年は、突然のコロナ禍到来で、手洗いやクレンジング商品需要の急激な伸びに素早く対応したが売り上げは微減だったユニリーバ。21年の総売り上げは539億ユーロ(買収ビジネス分、為替損益を除くと前年比3.4%増の524億ユーロ)となり、直近9年間で最高の結果となった。しかし、原材料コストなどの高騰により、営業利益は前年比2.9%増の96億ユーロで、営業利益率は前年比10ポイント下げ18.4%。20年は記録的だったキャッシュフローは、21年は設備投資などにより13億ユーロ減少の64億ユーロ。それでも良好なキャッシュ状態から、30億ユーロ程度の自社株買いをさらに進めていくとした。

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